第26章
ベテランのポン中たち その1
2014年8月26日(水)
夜も更け、ってか、明け方に一人の容疑者が入居してきた。空いている牢屋がたくさんあるのになぜにこの15室に?なぜなぜWhy?
そして彼は、「覚せい剤取締法違反」でお縄となった。これで俺が同居したシャブ(覚せい剤のこと)でパクられた人間は、原宿署から通算で10名となった。
シャブでパクられるヤツは基本的に「中毒」だ。やめられない人がほとんど。なので一般的には「シャブ中」と言われている。
でも業界では
「ポン中」
といいます。
なぜに「ポン」?
「ポン」の語源だが、諸説ある中で最も有力なのが「ヒロポン」の「ポン」から取ったとも。(ヒロポンの詳細はWebで検索してみてくださいね)
この通算10名(いまのところ)の中で、とくに面白かったヤツは4名ほどいた。腹を括っている人、往生際の悪い人、あきらめている人などなど………
では、今回その「シャブのベテラン4名」をご紹介します。
まずは一人目、今回の逮捕が通算8回目の65歳ベテランポン中、当然ヤクザだ。
彼とは約2ヶ月間同室だったが、俺の親と年齢が近かったので親近感がわいた。彼のすごいところは、8回の逮捕のうち、7回が「シャブ」で今回も、もちろんシャブだ。
で、常連というかベテランというか、とっても慣れたもので、
「2年半いってくるわぁ」
と、張り切ってた。
しかも、
「俺には弁護士は不要だ、俺が自分で弁護するよ、どうせ2年半満期だし」
慣れというものは恐ろしい………
でもね、彼がいみじくも言ってた、
「何度もパクられて、組の人間に何度もリンチされても
これだけはやめらんねぇなぁ、
次も刑務所出た瞬間、門の前でやるよ俺は」と。
恐るべしベテランポン中………
この世からシャブは無くなりません………
続きはまた明日ということで、本日は失礼いたします。