今日は天気

でし

ので

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第13章

 

 

 留置場の風呂

 2015年8月某日

 今朝は倍付で筋肉痛です。

しかし今日は嬉しい風呂の日

 なぜ嬉しいかというと、ここ留置場は週2回しか入浴ができない。

 

 娑婆にいるときは毎日シャワーなり風呂に入るでしょうけど、この壁のむこうではそんな贅沢は許されません。

 

なんせ容疑者なのだから

 

 俺がいた刑務所は月曜日、水曜日、金曜日の週3回で、しかも時間は30分間。でも東京拘置所は週2回で15分間。

 

なんでしょうかこの差は………

 

 で、新宿署留置場風呂はというと、夏場の7.8.9月は月曜日と金曜日の週2回で、それ以外の月は5日ごとに入浴できる。なので俺は、1年間で80回も入浴できた(数えていたので間違いない)

 

 ちなみに、刑務所の風呂はめちゃくちゃデカい。もろに銭湯って感じ。

 

 壁に富士山絵画でも描かれていればなぁと何度も思ったよ。

 

 さて、留置場の入浴に話は戻るけど、風呂の大きさは一般の家庭よりは大きいのだが、せいぜいその5~6倍くらいかなぁ、6畳間って感じ。

 

 1度に入れる人数が6人で、時間は1チーム17分を割り当てられる。

 

なぜに17分?

ビミョーな時間だ……

 

 ドアの前では留置担当官がストップウォッチを持ってきっちりと計測しながら俺たちを煽る。

落ち着いて風呂にも入らせてくれないのかよって

 

 だが、慣れてくるとそれなりにうまく時間配分ができて、余裕をもって全身を洗えるようになってくるところがさすがホモサピエンスってところかなぁ。

 

 で、風呂から出ると廊下で別の担当官が綿棒を持って待機している。それを2本もらって耳の穴をほじくり、それから自室に帰り、ふかふか………。

 

素敵なイベントが終了

 

 風呂がこんなに待ち遠しいものなんて娑婆じゃ感じたことないもんなぁ。

 

 そんなある日の入浴タイムで事件が起こった。

 

 いつものようにパンツ一丁で廊下に並び、担当官のケツを1列で進んでいく。

1クルーは6名

 順番に浴室に入り身体をゴシゴシ。それから浴槽にドボンする訳だが、なんせ俺のように留置場のベテランになってくると、そのスピードう。

 

ほかの人間よりは

 

 なので、浴槽にドボンするのはだいたい1番だった。

 

だが、

そこで事件が起きた。

 

 通常17室ある各居室にはだいたい4~5名の容疑者が入室しているが、押送にいくヤツらが早便で入浴し、その後に残ったヤツら、というパターンなのだ。

で、

 普段顔を合わせないようなヤツとも一緒に入浴するのが常になっている。

 この日は6人のうち1人だけ外人さんが混じっていて、やはり初めての経験で挙動がおかしいし、自然にそいつに目が行く。当然俺もそいつをガン見していた。

 

よくると、

そいつだけ俺たちと見た目が違っていた。

もちろん肌の色はそうだけど、

根本的う。

 

なんと

パンツを穿いたまま身体を洗っている。

しかも、

自分の一番大事なところもパンツの隙間から起用にタオルを突っ込み、

パンツごと

ゴシゴシ

 

 俺は嫌な予感がして担当官に視線を送った。

 

 しかし、アホな担当官は何食わぬ顔をしている。

 

 やがてゴシゴシが終わった外人さんはむくっと立ち上がり、すたすたと浴槽に近づいてくる。そしてごく普通に浴槽に片足を突っ込んだ。

 

「おぉ~い、ちょっと待てお前……」

 

 俺は大声を上げ慌ててそいつの身体を抑えてそれ以上は入れないように制した。するとその異変に気付いた担当官が血相を変えて猛ダッシュ。

 

「どっ、どうしたっ?」と担当官。

 

「いや、この外人パンツ穿いたまま

浴槽に入ろうとしたんだよと俺。

 

「なんだコイツ、はやく出ろっ」と刑務官が言って、

 

そいつの手を引っ張って外に連れ出した。

 

 いやはや、コイツの国はパンツを穿いたまま風呂に入るのかよ。

 世の中にはいろんな性癖が……じゃなかった、習慣があるんだなぁと世界の広さを痛感した素敵なお風呂タイムでした。

 

 

 

 風呂事情の報告終わります。ではまた後日、お疲れ様でした。