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第10章

 

 

 留(TOME)と保護房

 2014年8月某日

 本日からTONE ZAPPU(留=TOMEです)がスタートします。

 TOMEがなぜ留かというと、パクられてきた容疑者が着る服とか下着が無い場合、留置場でストックしている「官物」と呼ばれるそれらを貸与してくれる。

 まぁ、金のない人や身寄りのない人、あとはパクられたことを誰にも知られたくない人なんかは外部の人に差し入れを頼めないのでそれを借りる。

 ちなみに俺はパクられたときに刑事が、

「何日か分の下着を持って来てくれるか?」

と言ってくれたので、スーツケースに1週間分くらいの旅行セットを詰め込んで覆面のエルグランドの最後部座席に乗り込んだ。そのとき電動歯ブラシを持っていくのを忘れたんだけど、留置場では使えないことが判明。逆に持っていかなくてよかったかなぁと…

 で、その官物には全てTOMEとか、「留」とか書いてある。なので、留置場を略してTOMEとか「留」と称しただけである。

ん?

いらない情報かな?

 だが、後々この「TOME官物」でオモシロネタがあるので、頭の片隅にでも置いといていただければ幸いである。

 さて、TOMT ZAPPUの話しに戻しますよぉ。

 昨日までは夜8時からの30分間でヨガタイムだったが、例のボッタクリ帝王がどうしても期間集中ダイエットをやりたいと申告してきた。

 彼は体重が90Kgくらいあって、保釈で出るまでにどうしても20Kgは痩せたいのだと。

 なので緊急追加メニューで昼食後も1時間のエクササイズをすることになった。

ちなみに昼メニューとは、主に筋トレかな~。

目標マイナス20Kg

Let’s start !!

 腕立て伏せは基本で、腹筋ウルトラマン、さらには正拳突き逆立ち腕立て伏せなどなど、超ハードメニューを彼が考えた。そして断食もプラス。最終的には下剤までもらって水分という水分を全て出し切ろうとしていた。

まったく

恐ろしやぁ

である

でも2ヶ月で15Kgの減量達成

 だって、朝昼夜の食事は全部俺にくれて、自分は水しか飲んでなかったもん。すっげぇストイックだった。俺は真似できないなぁ。

 

 そうそう、昨日は歌舞伎町にある「おれのイタリアン」のノボリを壊したってことでパクられた人が入居してきました。暴れて、手が付けられなくて急遽2日間も保護房に入れられてたみたい。

 保護房といえば、我が居室から保護房に引越しとなった容疑者は全部で3人(この時点で)だった。

保護房とはどんな所?

 基本的に、留置場の担当官の指示に従わなかったり、犯行的な言動をした場合に強制的に入居させられるとっても寂しく冷たい個室です。

 のぞき窓から一度だけ見たことがあるけど、「ひどいところ」の一言しか出てきません。

俺は入れられたことは無いけどネ

 そして、ゴチャゴチャとゴネて留置場の担当官のご機嫌を損ねたら、そいつがアホみたいに叫びます。

「反抗ぉ~っ~っ」

次に非常ベルを鳴らします

 すると新宿署1階から15階まで中にいるほぼ全ての警察官(私服の刑事も)が大挙して押し寄せてきます。

まさに

 そしてゴネた容疑者を毛布す巻きにし、さらに革のベルト雁字搦(がんじがら)めにしてその物体をまるでお神輿のように何人かで担ぎ保護房へとぶち込みます。

 俺は良い子チャンなので入居したことはないけど遠目で見た状況を説明しちゃうと、約1坪のスペースに和式便器と水道だけ。床はコンクリートむき出しで、しかも夜は布団すら出してくれない。もちろん明かりは24時間煌々と照り続けている超明るいお部屋なのだ。

 まぁ、好んで入る居室ではないことは確かですね。

 良い子の皆さんは入らないように気を付けましょうねっ。

 

 ってことで、今日の報告は以上になります。お疲れ様でした。