桜満開
なので
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第7章
ヨガは痩せる?
20XX年8月某日
昨日、月2回ある医務診療のうちの1回がありました。
医師免許を持った医者(あたりまえか)が留置場に来て一人ひとり問診するのだが、まぁ、血圧を測って「お元気ですか?」で、はい終わり。
なんですのぉん!
なんとも素っ気ない
で、
俺の血圧は「107/70」…
低すぎでしょ
死人かよって
その診察にくるいつものおっさん(一応医者だけど)は「食い倒れ人形」似ているとても可愛い感じのおじいちゃんで、しかも無口です。面白いことを言ってもちっとも笑いませえん。
そんなイベントを俺はかれこれ24回も受けてるんですねぇ。さすがの無口な食い倒れ医師もお俺に対しては「ずいぶん長いけど大丈夫ですか?」と声を掛けてくれる。
全然大丈夫…
ではない…
そして今日、「歌舞伎町風俗弁護士」としてメディアを賑わした「ボッタクリ取戻し詐欺」の初公判の日です。はたして結果はいかに?その主犯もこの17室に入居していた。
って、今日の時点(2022年6月)ですでに分からないわけがないのでお伝えすると、執行猶予でパイになった。そして彼はその足でこの新宿留置場にお見舞いにやってきて、俺の大好きな深田恭子さんの写真集を差し入れていってくれた。(現在4冊ほど所持している)
しかし、残念ながらこの留置場で同部屋だった人間とは面会できないというルールがあ有るのでそれは叶わなかったが、死ぬほど嬉しかった。
さすがに嫁(2014年8月時点ではまだ夫婦でした)には言えないし、
「奥さんには内緒ですよ」
とのお手紙も同封されていた。
彼とは約2か月の同居だったが、7月末に東京拘置所に行っちゃたのよね。もしかしたら逆送でここに戻ってくるかもしれないとのウワサがちらほら…。明らかになっていない被害件数がめちゃくちゃ多いらしいからね。恐ろしいですねぇ~警察は…。
そいつの名は「たけし」。本名はたしか高橋なんとか…。
自分が営んでいた歌舞伎町のBERで、昏睡強盗をやってパクられたナイジェリア人に名前を間違えられてそのまま「たけし」と呼ばれ続けた一児の父でもある。
高橋⇒たかはし⇒たか~し⇒たけし…、さすがナイジェリア人である。
たけしは今も歌舞伎町で何かをやっていると思うけど、パクられていないことを祈るばかりである。
俺は2014年3月初旬からヨガを始めて、それを毎日の日課にしていた。入居してくるほとんどのヤツらは俺に触発されて一緒に体を動かしていた。なんとなくヨガ講師にでもなったような感じで、留置担当官にも「メゾットだなぁ」と言われてたよ。ちっとも嬉しくないけどね。
多分に漏れずたけしも参加してきた。俺がいつものメニューをこなして日課を終了しても、たけしは「俺、もうちょっとやるっすわぁ~」と言って、黙々とやり続けていた。
しかも、めちゃくちゃ懐いてしまって、しまいには俺のこと
「カントク」
と呼ぶようになった
なぜにカントクよ?
それはやはりヨガを教えてくれたから、と、やはりこの居室のレジェンドということもあるらしい。
まぁこの17室の秩序は俺が作っていたからね。
新入社員には必ず俺ルールのレクチャーを受けてもらって、それを遵守させていた。もちろんたけしにもだ。
でもねぇ、ヨガは痩せる
基本的には留置場の3食の食事は成人男性の最低接種カロリーぎりぎりで作ってるので、じっとしていても太りはしないし、長期間摂取していれば自然に痩せる。俺はヨガを始める前の8ヵ月間で5kgくらい痩せて、さらにヨガを始めてから3ヶ月で6kgくらい痩せたし、この時点で体重は69kgになっていた。パクられた当時は80kgくらいあったから11kgの減量だね。
なので、痩せたい人は是非パクられることをお勧め致します(笑)。
刑務所も似たようなもんだが、留置場と違うところは医者も常時待機していて体調管理も万全なこと。だから最近では身寄りのいないお年寄りの受刑者がめちゃくちゃ増えているそうな。
そんなヤツら(つい最近まで俺も)を養うのに一人頭年間300万円の税金が使われているそうで、俺は5年4ヶ月間の受刑(留置場と拘置所期間が2年10ヶ月)だったので1,600万円もの税金が使われたことになる。
申し訳ございません…。
出世払いで返金しますのでお許しくださいませ。
やっぱ、む~り~
っとまぁ、今日はこの辺でご勘弁を。
ではまた次回