いよいよディープなところに入っていきます。
この歌、なぜ「果実」という名前かというと、実は名前の元になった曲があるんです。
KAB.の楽曲では本当に珍しい。

ビリーホリディの「奇妙な果実」という曲をご存知ですか?内容はこの歌とは全く異なるのだけど、その「奇妙な果実」が木にぶら下がった死体なんです。

とても悲しい歌だけどすごく印象に残っていて、覚えていたんです。

「果実」に関してはあまり多く書きませんが、一番苦しかった時期の記憶です。
人は不思議なもので、「もう死ぬしかない」と思っていると、その「死」というものが「希望」になるんですね。
俺だけだったのかもしれないけどだったらごめんなさい。俺はその数年間、毎日毎日、来る日も来る日も「死」という希望の元に生きていました。

そして果実になり、誰にも見つからずに朽ちていきたいと、本気で思っていたのでした。

この歌は本当に救いようのないほど悲しい歌ですので、正直今、不安定だという方にはオススメしないかな。
俺自身もこの歌を口にする時、やはり悲しみを通り越してなんとも言えない苦しいような、でも安らかなような、そんな気持ちになります。

でもね、
それをなんとなく消化して来て言えるのは、
いつの日かその苦しみを乗り越えた先には、ちゃんと驚くほどの幸せが、広がっています。

あの時の苦しかった思いを、歌にしておいてよかった。