病院に着いたのは恐らく16時頃だろう。いつもより強い風が駐車場の木々を揺らしていた。
病院の扉を開けると、消毒液なのか、あの独特の匂いが鼻をつく。
待合室には電話をくれたおじさん一家とおばあちゃんが神妙な面もちで座っていた。
『あら、久し振り。よぅ来てくれたね。』
細い声でおばあちゃんが言った。
『久し振り。』
私がおばあちゃんに会ったのはその時が4年振りだった。勿論おじいちゃんとも。
『おじいちゃんはICUに居てるよ。見に行く?』おばさんが教えてくれた。
おばさんに連れられ、消毒をしてマスクをしてICUの扉を開ける。
おじいちゃんは完全に眠っていた。その顔は4年前とは別人だった。
体中に管が通され、ベットの横では人工透析の機械が淡々と動いている。
(続く。)