私の娘は現在矯正歯科に通っている。

もともと 顎が小さかった。乳歯もきっちり隙間なく並んでいた。

覚悟はしていたが 生えてきた永久歯は

他の子供に比べても かなり大きなものだった。


さらに。

娘は受け口気味であった。

噛み合わせも自分が楽な方についクセがついてしまうため

気がつくと にっこり笑った前歯は 下の歯が目立つ、ブルドッグのようであった。


初め街中の矯正歯科に受診した時

予算は100~150万と言われ 驚愕した。

やがて地元で比較的良心的な歯科を見つけ そこに通う事になった。

今はまず 咬合の治療をしているが、思ったより早く噛み合わせが戻ってきた。

しかし そうこうしているうちに永久歯が顔を出す。


娘は歯が生えるのは遅かった。

身体の成長は年間10センチ以上も伸びていて

今や3年生で140センチを越えてしまったが

初めての乳歯は小学校入学2日前に抜けた。

今もまだ7本が抜けているに過ぎない。

これは同じ年の子供に比べても かなり遅い。


その抜けた隙間に 大きな永久歯(犬歯)が出てきたのだが

生えるスペースが見つからず 本来生えるはずの場所からは大きくずれるらしい。

そこで 先生が

「先に 隣の乳歯を抜いて 場所を確保しましょう」

と 提案してくださった。

もちろん 抜いた乳歯の後にも歯は生えてくるのだが

それまでに顎が成長する可能性があるため 心配ないのだと言う。


娘の歯はこれまで自然に抜けたことしかない。

歯医者のお世話になって これまで数ヶ月、痛い治療はしていない。

半泣き(の顔)の娘をお任せして 診察室から出た。




麻酔は少し痛かったようだが 乳歯には歯根がほとんど残っておらず

簡単に抜けたとの事で 抜いた歯はお土産としてもらってきた。


「麻酔が切れた頃、痛みが出たらこの薬を飲んでください」


「麻酔っていつ切れるの? 針が抜けてから?」

「麻酔が切れたら どのくらい痛くなるの? 眠れないくらい?」

「薬がなくなったら どうやってご飯食べたらいいの?」


数々の珍問難問を投げかけたものの、結局痛み止めは

一度も使うことなく 3日目を迎えている。


「なんだ。歯を抜くのってどんなすごいことかと思ったら

麻酔の後で唇がなくなっちゃったくらいだったねぇ」


しかし これもいわゆる手術なのだということを 彼女は気付いているだろうか。