過去、人類は肉食獣であった。

調理法も特に得ていない時代、現代のトラやライオンのように

人類も 生で肉をくいちぎりながら食べる、というのがメインだったに違いない。

せいぜいが 焼いた肉を口にする程度であったろう。


しかし、黒海沿岸のグルジアで発掘された約180万年前の原人化石の調査で、

歯がすべて抜け落ちた状態でも生き延びた原人がいたことが分かった


>化石が見つかったのはドマニシ遺跡で、アフリカ以外では最古の原人化石とされる。

歯のない化石は、いくつか見つかった頭骨のうちの1つ。

高齢か病気が原因で歯が抜けたらしい。

歯の根がはまる上下の骨の摩耗などから、

死の数年前には既に歯がなかったとみられるという。


通常この状態で生肉や せいぜい火を通しただけの肉を

噛み千切るのは無理がある。

一緒に暮らす仲間が 柔らかく下ごしらえをするという配慮をした証拠となる。

ヒトがいつごろから他者をいたわる行動を始めたかを知る上で、

貴重な発見となる可能性もあるのである。


他者に対するいたわりを示す例としては、

10万-20万年前のネアンデルタール人が

病気の子どもの看病をしたとみられるケースがあるそうだ。


>近藤修(こんどう・おさむ )東京大助教授(形質人類学)は

「今回の推定が正しければ、これを150万年以上さかのぼることになり興味深い。

あるいは、当時の食事が肉を中心とした硬い物ばかりだったという定説を覆し、

軟らかい食事も一般的だったことを示す可能性もある」と話している。


現代の野生動物も 親が子をいたわることは知られている。

しかし 高齢、または大人になった動物は一人で生きていくのが一般的である。

社会的な弱者をいたわる心を持つのは 脳の発達したニンゲンの特権かもしれないが

180万年を経て 現代の私たち人類は

過去の人たちほどのいたわりを 他者に対して持つことができるだろうか。