▩ 映画『湖の女たち』を見て | 紀州屋良五郎 ☆大衆演劇・上方芸能☆情報系ブログ

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〇 不思議な映画を見てしまった

 

〇予告編〇

 

 

〇概要〇

STORY

湖畔の介護施設で100歳の老人が殺害され、西湖署の若手刑事・濱中圭介(福士蒼汰)とベテラン刑事の伊佐美佑(浅野忠信)が事件の捜査に乗りだす。厳しい取り調べを行う中、圭介はその過程で出会った介護士・豊田佳代(松本まりか)にゆがんだ支配欲を募らせる。一方、事件を追う週刊誌記者・池田由季(福地桃子)は、今回の事件と過去の薬害事件との関連を突き止めるが、さらに取材を進める中で衝撃的な事実が浮かび上がる。

キャスト

福士蒼汰、松本まりか、福地桃子、近藤芳正、平田満、根岸季衣、菅原大吉、土屋希乃、北香那、大後寿々花、川面千晶、呉城久美、穂志もえか、奥野瑛太、吉岡睦雄、信太昌之、鈴木晋介、長尾卓磨、伊藤佳範、岡本智礼、泉拓磨、荒巻全紀、財前直見、三田佳子、浅野忠信

スタッフ

原作:吉田修一
監督・脚本:大森立嗣
プロデューサー:吉村知己、和田大輔
音楽:世武裕子
撮影:辻智彦
美術:大原清季
照明:大久保礼司
装飾:遠藤善人
録音:吉田憲義
編集:早野亮
衣装:纐纈春樹
ヘアメイク:豊川京子
助監督:小南敏也
制作担当:大田康一
アシスタントプロデューサー:庄司智江
宣伝プロデューサー:筒井史子

 
上映時間 141分
 

〇私が見たまま、感じたまま〇

 

とても表現しづらい映画だ。人間の性と現代社会のひずみ。もっといえば「福祉」「老人介護」

における立場による格差を描いている。

 

介護施設で起きた事件に、絡まる複雑な事情。薬害事件の源流までたどれば旧満州における731部隊の人体実験にまで行き着く。しかし、映画では暗に示唆するだけで推測の域をでない。その老人に関わる介護師、看護師。警察ははじめから殺人事件のストーリーを組み立てていた。

 

それは、施設では入所者からも看護師と介護師を格差を持ってみられていた。たとえば、薬の服用においても介護士がいくら指示しても云うことを聞かない老人が看護師からひとこと言われるだけで素直に聞き入れたりする事実。その背景にある施設側の待遇格差(たいていの場所ではそうなのだが)あり、それを日頃から不満に思っていたという推定で警察はホシを介護師ときめつけ、さらには週刊誌の記者達も追い、事件が作り上げられていく怖さをも描いている。

 

その屈折し、息詰まるような社会の中で、人間の「欲」「性欲」は抑圧され出口を求めて突如噴出する。これらの複雑な要素を詰め込むには映画という手法にはやはり、限界があるのだろう。

 

筋を追っても行き着かない。一つ一つの流れが見通せない。そんな、もどかしさを最後まで残す消化不良の映画だった。結局、制作者はこの映画をして、何を伝えたかったのかが掴みきれないもどかしさが残る映画だった。