▩ 映画『ビニールハウス』を見た | 紀州屋良五郎 ☆大衆演劇・上方芸能☆情報系ブログ

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〇 『半地下の家族』に続く韓国の社会派映画。

 

〇 予告編

 

〇 概要

STORY

貧困のため、ビニールハウス暮らしをするムンジョン(キム・ソヒョン)は、少年院にいる息子と再び一緒に暮らすことを願っていた。その資金を稼ぐため、彼女は盲目の老人テガンと、その妻で重度の認知症を患うファオクの訪問介護士として働く。ある日、ファオクが突然風呂場で暴れ出し、ムンジョンと揉み合う中で後頭部を床に打ちつけ命を落としてしまう。困ったムンジョンは、同じく認知症を患う自らの母親をファオクの身代わりにする。

キャスト

キム・ソヒョン、ヤン・ジェソン、シン・ヨンスク、ウォン・ミウォン、アン・ソヨ

スタッフ

監督・脚本・編集:イ・ソルヒ
プロデューサー:チョ・グンシク
アソシエイトプロデューサー:カン・ギョンイル
撮影:ヒョン・バウ
サウンドプロダクション:イ・スンチョル
プロダクションデザイン:イ・ヒジョン
音楽:キム・ヒョンド
照明:イ・ユソク
サウンドミキサー:イ・スンジン
ヘアメイク:キム・ユイム
衣装:パク・セヒ

上映時間
100分

〇 私が見たまま、感じるまま 〇


この映画『ビニールハウス』は、『半地下の家族』に続いて制作された韓国の映画である。韓国の出来事がモチーフであるが、日本の現実をつぶさに切り取って見せてくれているような映画に思える。

ますます広がる生活の格差、シングルマザーの過酷な実態、認知症や障害を抱えた家族の苦悶、労労介護の現実などが幾重にも日本の現実と重なる。

その中であまりにも軽んじられる、福祉ワーカー達の働く姿が身つまされる思い出する。

結末はとても悲しい。こうでもしなければ、この地獄から這いだすことが出来ないような絶望的な結末だ。

残念ながら観客の動員はあまり良くないようだ。なぜ、こういう社会の現実をまざまざと見せつけるようなドキュメンタリータッチの映画に多くの人はあまり関心を払おうとしないのか?

現実を見ることに耐え切れなくなるのか、この鬱積した気分が、今の政治の政治への閉塞感でもある。

その鬱憤は、近い将来マグマとなって、火山の噴火のように、大地変動のように、大きな力で揺り動かす時が刻々と迫っている予感がしてはしてならないのである。

極限状態にならないと人は行動に出ないものなのかもしれないが、やっとその時が来たようだ。

今が時代の大きな転換点に立っていることを改めて気づかせてくれる映画である。

誰人も避けて通れない現実であるが、故に、勇気を振るって見据えなければならないと私は思う。
できれば多くの人に見て欲しい作品の1つである。