●まいどおおきに~観劇メモです。
かねてから楽しみにしていた芝居です。
中村鴈治郎に迫る座長の怪演。
★メンバー
座長 澤村龍司
副座長 澤村幸四郎
澤村天地
澤村あすか
澤村蒼愛
他
★芝居「新国劇物語 殺陣師一代 市川段平」(前編50分)
※前編
〈あらすじ〉
沢田正次郎は段平に届いた電報を見た。そこには、
なんと段平の妻のことが書かれていた
沢田正次郎に殺陣のことで、新国劇にあうリアリズムの殺陣が欲しいのだと話し、電報をやにわに渡す。
そこには娘きぬえからのもので妻はるの死を知らせるものだった。正次郎に裏方は他にもいるから、妻の眠る京都へ帰りなさいと言いわたす。
そう言われるなら、殺陣師の私にも聞いて貰いたいことがあると段平は語り始める。‥
《何度見てもこんなに泣ける芝居と役者はない。どうか、ここからは、生の舞台を見て下さい。書くと思いが伝わりませんので、書けません。前編50分が10分に感じる熱演でした。》
・沢田正二郎は新国劇に欲しい殺陣はリアリズムの殺陣と段平に説く。
・段平は思い巡らし必死の思いで巡らす。
・そこに届いたのは女房の病死の知らせだった。
・澤村龍司座長のほとばしる台詞が、まるで自身の心情を現すような気持ちが伝わってくる。つばが飛び、鼻水垂れるさまがライトに照らされる熱演がありありとわかる。
・京都南座でやる忠治の芝居、殺陣は段平一人に任せたい。南座に先に行き殺陣を考えて欲しいと言う。段平を思い京都へ返らせる沢田正二郎。
・一旦、京都へ帰る段平。沢田は酒をやめるよう注意する。心付けを渡す沢田、島田。
リアリズムを考えて戻ってくるからと。
止められた酒に手をつける段平。
女房との思い出を回想する座長・澤村龍司。
ひとり語りが冴える。これはこの座長しかできない舞台だ!
(以上が前編)
※後編
・忠治(澤村幸四郎)の劇中劇の場面から始まる。
・沢田正二郎の口上挨拶の場面。設定は京都南座。段平の事を縷々語る新国劇の沢田正二郎。死の淵にいる段平の生き様を語る。今際の段平の元に行かせてくれと客に頭を下げる。
・病に臥す、段平の元に沢田正二郎がやってきた。命絶え絶えの段平と再会する沢田正二郎。初日だったが南座のお客様に事訳を言ってここにきた。
・動かない体を押して、考えたリアリズムの殺陣を披露する。
・怪我無きこと祈りなくなるほどすさまじい殺陣。命がけの座長名演。とてもじゃないが現在の大衆演劇の座長でここまではできない舞台だ。断末魔の忠治と市川段平の最後が重なる場面。
これこそ、私が求めていたリアリズムだと沢田正二郎に言わしめる。これで女房の元にいけると。
芝居が好きで好きでたまらないんですわ。
最後に沢田正二郎の忠治が見たいと願いを告げる段平。
沢田正二郎が末期を迎えた段平の枕元で演じる。
唯々感動の芝居。
『かっこ悪いことが、かっこええこともあるんや、
忠治の最後はわいと同じ中風になるんや‥‥
リアリズムは速さなんや‥カタは同時や、うしろやま形、頭かち割るんや‥頭割られた忠治に血が流れ、みた役人が腰抜かすんや‥これがリアリズムちゃいますか先生』
まさに、血を吐くような殺陣師段平のセリフがそのまま、澤村龍司座長の芝居にかける熱い思いを聞いたような気がした。
アメージンググレイス流れ幕。激賞‼
(後編50分)
【キャスト】
・市川段平‥澤村龍司座長
・沢田正二郎‥澤村幸四郎副座長
・座員島田‥澤村天地
・座員辰己‥澤村百
・興業師‥澤村あすか
・段平の娘‥澤村蒼愛
・ほか
参考
殺陣師段平とは
内容は、大正の初年、演劇が芸術に片寄り大衆から離れつつあることを嫌った沢田正二郎が、松井須磨子の「芸術座」を脱退、「時代よりも半歩前進」を唱えて「新国劇」を創立、剣劇ものに一つの方向を見出そうとする。立ち廻り芝居というので、喜んだのは殺陣師上りの、一座の頭取、市川段平である。だが、無知文盲な彼には、沢田の言うリアルな立ち廻りというのが全然分らない。一度は落胆するが、虚仮も一心で、段平は、遂に新しい殺陣を編み出し、それを死の床から沢田につける、といったふうのもので、新しい型の殺陣を求めて飽くことなき執念の灯を、死ぬ瞬間まで燃やしつづけた一代の殺陣師、市川段平の生涯を笑いと涙で綴る異色の感動ドラマ
◆口上挨拶 澤村蒼愛
・前売り券&グッズ販売
★舞踊ショー
・ラスト よいとまかせ
〇座長の言葉 ほぼ口述筆記
七年ぶりに関西に帰ってカルチャーショックを受けています。群舞の多い舞踊ショーや、なんて着流しの女形が多いんかとか。すげえなと、今こんなのか、すげえなすげえなと思ってます‥僕がね、いまさらそんな真似もしたくないし、僕は僕なんで、お芝居が大好きなもんで。お芝居を観ていただければいいなと思って、今日は市川段平というお芝居をお届けしました。お芝居の方、如何でございましたでしょうか?(大拍手)
このあと芝居バカの私がイブニングショーも芝居をやります。しかも、ひとりで‥バカとしか云いようがない。自分でもおもうもん。だってさー、普通、舞踊ショー終わってお客さんをつなぎ止めるやん。そのためにイブニングショーやるからってみんな見てー云うてね。
芝居に誰が残るねんちゅうてね。正直言ってね、ほんま、そうよ。芝居?また、座長、重いのやるんでしょ、鼻水飛ばしながらやるんでしょ。ウワッーってなるやん。でもねーバカは死ななきゃ治らない。ほんとですよ、200も劇団あってさ、こんなバカがいてもさ。みんなね語りますよ、うちはね芝居に力を入れてますってね。みんな云うよ雑誌とかではね。でもね???‥
次のひとり芝居『淡路島の兄弟』はひとりで四役やります。みんな落語見てるような感じで、このあと見ていただいたらいいなと思っています。世の中、こんなバカ許してください。自分を変えようがありません。その代わり、舞踊ショーは若い子に任せているんです。口出しせんからと云っています。
急遽、決まったんですが、今月の6.7日はMスタジオ、劇団美川さんからお話しありまして劇団四人で出演いたします。
また、16日~19日までは、和歌山・七福座、森川竜馬劇団さんにもお世話になりますのでどうかよろしくお願いします。
そのあとは、まだ決まってはいませんが上田芸能社所属なので、遊楽館、演舞座、がんこ座、香芝天満座には出演させていただく機会があるかと思います。(明日の芝居紹介)本日のご観劇ありがとうございました。
【劇団スケジュール】
・21日 尼崎・遊楽館 四谷怪談
・他にもMスタジオ、七福座など多数ゲスト出演決定しました(別掲)
【尼崎・遊楽館】
・12月 チーム劇龍 龍美麗+龍魔裟斗
熱演につぐ熱演、熱闘澤村龍司・紀州屋良五郎 筆