▩ 映画『ある精肉店のはなし』を見た | 紀州屋良五郎事務所 (大衆演劇・上方芸能通信)

まいどおおきに〜映画メモでおます

 


この映画は日本固有の人権問題「部落差別」とそれによる職業的差別に生活者の立場から切り込んだ映画である。

 

更に、屠畜から解体、食肉販売に至る全工程を江戸時代から累々と継承してきた北出精肉店一族の戦いの記録だ。

 

〇牛を殺す・屠畜=残酷、としながら日常、焼肉、もつ鍋屋に行列を作り食する人たちがいる。

 

北出さんは語る牛や豚は「殺す」とは言わない。「割る」という。鶏や魚は「締める」という。


人は生き物の命を頂いて生きている。

だから『(命を)いただきます』と言って食事する。応に、食の原点ではないか、それを職業にさせ身分制を敷き、特殊なものとしてきた。身分制=職業差別その日本史の暗部を今に自覚させる映画である。

 

部落解放運動が北出一族を強くさせ地べたから立ち上がらせた。かつて泉州南部に日本最大の屠畜場があり市場があった。その頃から北出一族は食肉を仕事としてきた。江戸時代の岸和田藩が行った独自の身分制から、させられてきたというべきか。

 

牛は現代では、肉のみならず、内臓はもつ鍋やホルモンの食材に、皮も太鼓の皮に使われすべて利用されている。

北出さんは、現在では精肉店として販売のみ行っている。さらに、地域文化の軸になる祭り太鼓の革職人・工房も営む。

 

大阪・貝塚市の東地区に伝承される盆踊りや地車のシーンにも興味が尽きない。かつて河内音頭研究家の村井一郎先生が泉州にはまだまだ研究されてない音頭のルーツがあると語っていたのを想起する。

 

北出さんが屠畜した牛について語る。肉を買ってくれた人たちから「あの肉おいしかったよ」と言ってもらったとき「あの牛も浮かばれるなと思います」との一言が重い。

 

若いお母さんが子どもさんと一緒に見て欲しい映画である。生きる意味を感じるずっしり来た映画だ。

 


■参考・全国水平社宣言■

綱領と宣言


 

綱 領



一、特殊部落民は部落民自身の行動によつて
  絶対の解放を期す
一、吾々特殊部落民は絶対に経済の自由と職業の
  自由を社会に要求し以て獲得を期す
一、吾等は人間性の原理に覚醒し人類最高の
  完成に向つて突進す


 

宣 言


 

全国に散在する吾が特殊部落民よ団結せよ。


 長い間虐められて来た兄弟よ、過去半世紀間に種々なる方法と、多くの人々とによってなされた吾等の為めの運動が、何等の有難い効果を齎らさなかつた事実は、夫等のすべてが吾々によつて、又他の人々によつて毎に人間を冒涜されてゐた罰であつたのだ。そしてこれ等の人間を勦るかの如き運動は、かへつて多くの兄弟を堕落さ
せた事を想へば、此際吾等の中より人間を尊敬する事によつて自ら解放せんとする者の集団運動を起せるは、寧ろ必然である。兄弟よ、吾々の祖先は自由、平等の渇仰者であり、実行者であつた。陋劣なる階級政策の犠牲者であり男らしき産業的殉教者であつたのだ。

 

ケモノの皮剥ぐ報酬として、生々しき人間の皮を剥取られ、ケモノの心臓を裂く代価として、暖かい人間の心臓を引裂かれ、そこへ下らない嘲笑の唾まで吐きかけられた呪はれの世の悪夢のうちにも、なほ誇りうる人間の血は、涸れずにあつた。そうだ、そして吾々は、この血を享けて人間が神にかわらうとする時代にあうたのだ。犠牲者がその烙印を投げ返す時が来たのだ。殉教者が、その荊冠を祝福される時が来たのだ。

 

吾々がエタである事を誇り得る時が来たのだ。吾々は、かならず卑屈なる言葉と怯懦なる行為によつて、祖先を辱しめ、人間を冒涜してはならぬ。そうして人の世の冷たさが、何んなに冷たいか、人間を勦はる事が何んであるかをよく知つてゐる吾々は、心から人生の熱と光を願求禮讃するものである。
 水平社はかくして生まれた。
 人の世に熱あれ、人間に光あれ。

 大正十一年三月   
水 平 社

 

以下  第七芸術劇場のサイトからの引用

2013/日本/108/ポレポレタイムス社 配給

監督纐纈あや

プロデューサー本橋成一

いのちを食べて いのちは生きる

大阪貝塚市での屠畜見学会。

牛のいのちと全身全霊で向き合うある精肉店との出会いから、この映画は始まった。

家族4人の息の合った手わざで牛が捌かれていく。

牛と人の体温が混ざり合う屠場は、熱気に満ちていた。

店に持ち帰られた枝肉は、丁寧に切り分けられ、店頭に並ぶ。

皮は丹念になめされ、立派なだんじり太鼓へと姿を変えていく。

家では、家族4世代が食卓に集い、いつもにぎやかだ。

家業を継ぎ7代目となる兄弟の心にあるのは被差別部落ゆえのいわれなき差別を受けてきた父の姿。差別のない社会にしたいと、地域の仲間とともに部落解放運動に参加するなかでいつしか自分たちの意識も変化し、地域や家族も変わっていった。

20123月。

代々使用してきた屠畜場が、102年の歴史に幕を下ろした。

最後の屠畜を終え、北出精肉店も新たな日々を重ねていく。

いのちを食べて人は生きる。

「生」の本質を見続けてきた家族の記録。

 

 

 

 

 

 

上映スケジュール

11/30()12/6()

10:00

12/7()13()

20:30

料金

一般

1,300

シニア

1,100

学生

1,000

小学生以下

700

会員

1.000

 

大阪・十三 第七芸術劇場

532-0024 大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ6F

TEL06-6302-2073