▩ 河内十人斬り三日目・金剛山鉄砲腹 浪花劇団 鈴成り座 2018/09/24 | 紀州屋良五郎 ☆大衆演劇・上方芸能☆情報系ブログ

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見てもろておおきに~まいどおなじみの観劇メモでおます。連日、大入りに沸く!

 

すべての芝居が見ごたえあるベテラン揃いの劇団。大衆演劇の芝居魂の極地、浪花劇団にあり。

 

河内十人斬り 三部作  三日間

・男の契り

・恨みの殴り込み 

・金剛山鉄砲腹本日はコレいよいよ結末

 

●10月は奈良・弁天座。

 

【メンバー】

近江新之介  

浪花めだか   

蛇々丸

ベビーここ  

タイガー一心  

浪花しめじ

浪花勘太郎  

浪花小福

プリティこはる

大川龍子  

三枡家ゆたか

 

◼️鈴成り座スケジュール

10 宝海劇団

11  鳳凰座

 

顔見せミニショー(12分)

 

☆特選狂言「河内十人斬り 金剛山鉄砲腹」(65)

(配役)

  • 近江新之介‥弟・弥五郎
  • 浪花めだか‥村の親父
  • 蛇々丸‥兄・熊太郞
  • 三枡家ゆたか‥刑事
  • 浪花しめじ‥刑事
  • 大川龍子‥おぬいの母おかく
  • 浪花勘太郎‥刑事
  • タイガー一心‥刑事

【あらすじ

※先代京山幸枝若の浪曲を解説に流す

※明治26年の物語  今でいう新聞読み

※河内弁がきっちり決まる

※小道具にもこだわりを見せる舞台づくり 火焰玉 銃など オリジナル別注の甲冑(ラストショーで使用)

 

本懐遂げた熊太郞と弥五郎、官憲を逃れ金剛山に立て籠もり、備え持った村田銃を武器に応戦する。いよいよ大詰め最終段。

 

【解説】

熊太郎・弥五郎の最後

翌日26日に地元の富田林警察署に通報が入り、事件が発覚する。

大阪府警本部からの応援も駆けつけ、逃亡したと思われる金剛山に非常線を張ったが、

2人はなかなか捕まらず、食料を強奪されたとの報告が来るばかりだった。 しかし実際は、

村人が熊太郎たちに協力し、食料を分け与えていたようである。

痺れを切らした捜査本部は、山狩りを開始したがイタチごっこが続いた。

しかし事件から2週間後、金剛山中で二人の自殺死体が発見されたことで事件は解決した。

 

【芝居のあらすじ】

タイガー一心とめだかの掛け合いから始まる。

今、村で流行っいる歌を歌う。

「男もつなら熊太郞、弥五郎  十人殺して名を残す」と。

 

・刑事がやって来て村人に知らせるように徹底する。

・通りかかった熊太郞、弥五郎。

折しも、村人が熊太郞と弥五郎に助けられた知り合いだった。

じりじり追い詰められゆくその中、助け船を出す。めしを振る舞う。

めしを平らげる二人。しみじみ互いに思いやる二人。

自然なユーモアが、観客を笑いの渦に巻き込む。そして‥大団円を迎える。

手にした銃で熊太郞は弥五郎を撃つ。

杯一つの義兄弟、ここで死に花さかそうと熱血の叫びをあげる熊太郞。

・気合いで語り込む熊太郞。名コンビ座長と蛇々丸。

やがて、熊太郞も自害し、果てる。

刑事が山へ迫る中、刑事の弾丸を受けるも兄を庇う弥五郎。幕。

(65)

 

【河内音頭の新聞よみ】

大阪の片田舎で起こったこの惨殺事件は、女と金と仁義と様々な要因が絡んだ事件として、

多くの新聞が取り上げ、話題をさらった。事件の起こった年に、芝居や小説になった。

 

そして、富田林署の署長お抱えの人力車夫の初代岩井梅吉(本名・内田梅吉)が、

捜査情報を元に趣味であった河内音頭に歌詞をつけようと思ったが梅吉は文字を書けなかった。

 

そこで友達である松本吉三郎(現存する河内音頭の会である岩井会6代目・岩井梅吉の父親、現在は9代目)が河内音頭の平節に歌詞をつけた。そして事件が起きて1ヶ月後の6月に、道頓堀の五座(朝日座、難波座、中座、弁天座、角座の5つ)の中のひとつである中座で『河内音頭恨白鞘』(かわちおんどうらみのしらさや)を講演したところ、たちまち45日間も続く大ヒットとなったのである。

 

この頃歌われていた音頭は古い題目、すなわち義士ものや、任侠ものが多く歌われていた。

そして岩井梅吉が歌った『河内十人斬り』は、実際最近起きた出来事を歌っていて、

当時の人からしたら新しいものだったのである。

このような実際に最近起きた出来事を音頭にすることは「新聞(しんもん)読み」と呼ばれる。

当時は義務教育も普及しておらず、大部分の民衆は文字を書くことはおろか、新聞も読むことが出来なかった。

そこで多くの民衆は、この事件の有様を河内音頭で知ることが出来たのである。

つまりこの河内音頭が、「読むことを売る」、読み売り瓦版のような役割を果たした。

「男持つなら熊太郎弥五郎、十人殺して名を残す」と河内音頭に歌われ、この演目はヒットして浪曲にも残り現代まで伝わり、作家の町田康の小説『告白』の題材にもなった。

 

厚みのある泣き笑いの芝居は見事な浪花劇団。




【口上挨拶】(近江新之介座長)

・独特の節回しの挨拶。

・分かりやすく河内十人斬りの経緯と真実を解説する。

町田康の小説「告白」にも触れる。

 

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・イベント、演目の紹介。

・前売り券&グッズ販売。

11月は静岡、年末12月公演は紀の国ぶらくり劇場。

 

☆舞踊ショー

・ラストショー「傾奇狂い歌」

画像

土の香りがする嫌味のない座長、楽しませてなんぼに徹する近江新之介・紀州屋良五郎