6月歌舞伎座杮萱落興行、千秋楽一陽来復  ねむり猫のブログ

第三部「鈴ヶ森」「助六由縁江戸櫻(すけろくゆらいのえどざくら)」

6月興行の「助六」については相当メディアでも扱われていたので皆さまご覧になったのでは?と思います。
本来は故團十郎丈が花川戸助六を演じるはずでしたが、あんなことになり、海老蔵が代演で助六を。


正直、発表になった時から、私は、いやきっと皆さん分かっていたと思います。「海老蔵の助六は團十郎さんより良くなる・・」と。
私は3年前の新橋演舞場で、初めて海老蔵の演じる助六をみて、もうこの人以外ないだろうというはまりっぷり。もともと海老蔵好きな私ではあるけれど、普段の坊主頭の映像が、天下一のオトコマエであるといささか認めにくい。海老蔵は白塗りで、隈取をしたときが、本当に絵から抜け出たような美しさなのである。
$一陽来復  ねむり猫のブログ
    この写真一枚ン百円!叫び

助六こと曽我五郎は、名刀「友切丸」を探しているのだ。その刀を探すために、人が集まる吉原あたりで無駄に喧嘩を売っては相手に刀を抜かせよう・・・としているのだ。悪ぶっているのだ。しかもその吉原で屈指の花魁「揚巻」は助六にべたぼれ。いや揚巻だけでなく出てくる女性はみんな助六のいい男ぶりにほれてしまうというそんな助六。どう考えても海老蔵が年齢的にも、喧嘩慣れてるという設定でもぴったりなので、リアル助六なのである。

そして、実際スゴカッタ!

出てくる、止る、見えを切る、何をしようと歌舞伎座が♡の溜息であふれるのだ。
花魁揚巻は福助、その他嫌われ者意休に左団次、門兵衛に吉右衛門、助六のお兄ちゃんの白酒売りが菊五郎、お母さんが東蔵、通人が三津五郎・・・とそうそうたるメンバー。こんな助六多分この先ないのではないかと、もう嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。

一陽来復  ねむり猫のブログ
しかも助六登場場面を河東節連中(かんとうぶしれんじゅう)。河東節は成田屋だけが使えるというか、使っていいというか専売特許??なので、仮に他の家が助六を演じても、清元とか長唄の皆さんが演じるだけ。この河東節連中は、素人(他に職業を持っている)さんの集まりでいながら、腕前はもちろん玄人さん同様の集団といわれてます。なんか大店の旦那若旦那が、趣味で始めた歌がそこそこプロ級…なんてイメージを私は持ってます。今回も最終日は「なかにし礼」氏が名前を連ねてました。

それにしても、よくこのチケットとれたなぁ・・・と我ながら驚きました。
もちろん一階花道横とかそんな助六がすぐそこ~みたいな席ではなかったけれど、二階の2列目なら舞台の全容が手に取るように見える。團十郎後援会経由とはいえ、今回は後援会と言えどもチケットが取れなかった方もたくさんいらしたとか聞いたので、後援会に入って何年でもない若輩者によくもチケットが・・という感謝の気持ちでいっぱい。考えてみれば友人が歌舞伎座再開初日のチケと取ってくれて、だれよりも早く舞台を見て、4,5,6月で一応杮落としの一番重要な3月が過ぎ、その最終日の3部を見ることが出来ました・・・てのはちょっと自慢です。

鈴ヶ森って杮落しにふさわしい演目なのかいまだによくわかりません。刑場の鈴ヶ森が舞台だから最後まで舞台が暗いくらい・・・。その後助六が始って、桜満開の三浦屋の玄関先が一層華やかに見えるってことはあるのかもしれないけれど・・・。やはりまだわかりやすい歌舞伎が好きですね。

さて当日の着物、「夏祭浪速鑑」の團七っぽい柄ですよね。
江戸風の着物着ようと思ったらこれになりました。
一陽来復  ねむり猫のブログ