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こんにちは。

 

今日はまた旅の記事はお休みにして、本の話を。

 

 

読み終えてから時間が経ってしまったのですが、

 

『一九八四年』ジョージ・オーウェル 1949年初版

(私が読んだのは、早川書房2009年の新訳版です)

 

 

参考まで

 

 

全体主義的社会を描いた名作、さすがです。考えさせられます。

 

『一九八四年』は、1950年代に起こったとされる核戦争後の1984年のロンドンを舞台にした、未来小説です。

 

そこはビッグブラザー率いる党が支配する、不都合な過去が記された文書は全て破棄焼却され、都合のよいものに書き替えられるという世界となっていて、

 

党に反する者は捕まり、徹底的に思想教育(という名の拷問、徹底的な人格破壊)を受けます。(このあたりの描写も、すごいです)

 

 

思想統制の恐ろしさを強烈に感じるこの作品ですが、

中でも私は、[言葉を少なくすることによって、思考の範囲を狭めさせる]という支配者の考えに怖さを感じました。

 

それは私が現在の社会から、簡単な言葉を使うことや短く解りやすいフレーズを使って伝えることが大切、という空気を感じているからかもしれません。

それも一つの大切なことではありますが、

様々な言葉を知ること、そこから何かを感じること考えること、そうした力をつけることもまた、大切なことではないかと私は思っています。

ですので[言葉を少なくすることによって、思考の範囲を狭めさせる]という考えに怖さを感じたのだろうと思います。

 

 

以下、『一九八四年』のその部分について書いてみました。

 

 

作品内の1984年では、まだ定着していないとはいえ、ニュースピークという、今まで使われていた言葉(オールドスピーク)を必要最小限にまで削除したものが推奨されています。

 

(ニュースピークと、オールドスピークについては、本の終わりに“附録”という形で細かい説明がされています。)

 

ニュースピークがどういうものか少し説明すると、その一つは、

単語に、-ful、-wise や、ante- 、 post-  、up- 、down- 、un-、などをつけることで、残された少ない単語のみで意味が通るようにしてしまおうというものです。

 

例えば、「良く」「良い」を表わす単語goodに、

wiseを付けてgoodwise(副詞wellは必要なくなります)

unを付けてungoodとなります(反対語badは必要ありません)

また

「とてもよい」はplus付けてplusgood、更にdoubleを付けてdoublegoodとなっていきます。

 

このように、言葉を削除し、使用する言葉を限定し必要最小限にしていくことが推奨されています。

 

 

一見、合理的なように、無駄がないようにも思える?かもしれません。

あるいは、現在あるような比喩的なものも含めた様々な表現ができなくなることを残念に思う方もいるかもしれません。

 

しかしこれは、それどころではなく、とても危険なところに繋がっているのです。

更に恐ろしいのは、推奨している人間たちの目的がそこにあるということなのです。

 

 

本編p82に

「ニュースピークの目的は挙げて思考の範囲を狭めることにあるんだ。

最終的には<思考犯罪>が文字通り不可能になるはずだ。

何しろ思考を表現することばがなくなるわけだから。

必要とされるであろう概念はそれぞれたった一語で表現される。

その後に意味は厳密に定義されて、そこにまとわりついていた副次的な意味はすべてそぎ落とされた挙句、忘れられることになるだろう。」とあります。

 

思考を表現する言葉がないので、そもそも思考できなくなる、とは。

例をあげると、ニュースピークに残された「等しい」を表わす単語はequalで、今でいうfair、フェア、平等という概念を示す言葉はなく、そうした思想を求め考えようとしても、「その考えを裏づけるために必要な語が手に入らな」くなる、ということなのです。

例えばこの1984年の世界では「アメリカ独立宣言」は<犯罪思考>とされていますが、もしニュースピークが浸透し定着していけば、そもそも<犯罪思考>をすることすら出来なくなるであろうということなのです。

 

党にとって権力者にとって「正統」とされる、彼らにとって都合のよい言葉しか使うことが許されなくなる世界とは、なんと恐ろしいものなのでしょうか。

 

  

 

さて、ニュースピークとオールドスピークについては、本の終わりに“附録”という形で細かい説明されているのですが、この“附録”は、

作者不明として、1984年よりかなり先の未来に書かれたと読み取れる形になっていて、このニュースピークの試みは失敗したととれるようになっています。

作者であるジョージ・オーウェルはこの“附録”の中に希望を書いているのです。

本編の終わりがあまりに絶望的なので、この附録という形で描かれた希望に救われます。

 

 

現実世界では今2019年、これから世界はどうなっていくのでしょうか。

 

言葉が削除され、考えること、思考することが出来なくなる世界を、私は望みません。

私は、全体主義的な社会は望みません。いやです。

本編の終わりのままのような世界になるか、附録を書くことのできる世界になるか、今の我々にかかっているように思います。

 

『一九八四年』、いま読むべき作品なのではないかと私は思います。

 

 

 

一休みコーヒー

 

 

 

 

7月21日まで、こちらの記事もぜひ

 もしNOの気持ちがあるなら、それを表しませんか?

 

 


今日という日が皆さまにとって素敵な一日でありますように
愛を込めて
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誰にも話せずに苦しんでいること・・
秘密厳守と、区切られた空間と限られた時間の中でなら、
安心して吐き出せるかもしれません。
苦しい気持ちを楽にしませんか?
あなたを救えるのは、あなた自身だけなのですよ。

 

~お話しくださった事柄と、どう向き合っていったらよいかを、

心理学的視点と、(ご希望の方には)四柱推命鑑定を用いて、

一緒に考えてまいります。~

 

気持ちが楽になるお手伝いができれば光栄です。

 

 

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