今日家の前の道路に民間救急車がとまっていました。
民間救急車の文字を見て、アルコール依存症の母を病院へ運んで貰えないか、相談をした時の事を思い出しました。


2020年。
父が重度のうつ病で入院。
父の担当の医療相談員さんに、精神的な病気の人、依存症の人を病院に搬送してくれる民間救急車があると教えて貰いました。
そうして、父が入院していた病院にも出入りしていた民間救急車の会社をいくつか紹介して貰いました。
私はアルコール依存症の母をどうにか病院にかからせたくて説得をしていましたが、母は病気を認めず、どうにもならない状態が続いていました。


お金はかかるが仕方ない。
私は頼ってみようと、紹介して貰った民間救急車の会社に電話をしました。
状況を説明。
すると、『わかりました。我々はプロですから、なんとしてでもお母様を搬送します!』そう言われました。
安心したのも束の間、『ですが、搬送する病院はご自身で見つけてください』と言われました。
搬送先が見つかったらまた電話してください。いつでも動きますと言われました。


いくつも病院に電話しました。
もちろん父の入院した病院にも。
ところが、通常の精神内科では、お酒が入っている患者は受け入れを断られました。
アルコール依存症専門病院に相談してくれと。
そこで県内のいくつかのアルコール依存症病院に電話をしました。
すると病気を認めていない母の状態では、拘束する設備のある病院の方がいいと言われました。
そこで県内でも有名なアルコール依存症病院に電話をしました。
ここが一番キツイ言い方で断られました。


『民間救急車で無理矢理連れてきてもかまいませんが、患者さんにお話しても、ご本人が認めないならすぐに帰っていただきます』と言われました。


これがアルコール依存症という病気なんだと思いしった感じがしました。
病院の対応としては当たり前の事を言っただけかもしれない。
でもその時の私の精神状態はギリギリでした。
なのでスパッと切られたようで、とても辛かった気がします。


数日後、母は酔って自殺未遂を起こし、ケガはたいした事がなかったのですが、私は警察をすぐによんで事情を話し、措置入院に持ち込めないかを頼みました。
ところが母が落ち着きを取り戻した為に、人権の観点から措置入院には出来ないと言われました。


事情を察した1人の警察官が署に戻らず残ってくれ、もう一度アルコール依存症病院に診てくれないか電話をしました。
警察官の方も一緒に電話に出て話してくれました。
ところが病院の反応は、『予約されてないなら無理です』でした。


なす術がない。
警察官も何も協力出来ず申し訳ないと帰っていきました。
民間救急車も諦めました。
私はこの時、母を病院にかからせる事自体を諦めました。


精神保健センターに相談し、一緒に診て貰える病院をさがしてくれた精神保健福祉士さんは、隣の県の病院にも電話してくれました。
最後は、『酒抜きだけでも…』そう言って電話をしてくれました。
それでも断られました。


地域によって体制は違うと思います。
あくまで私の住む県、市はこうでした。
どうなんでしょう。
他の地域ではアルコール依存症病院の対応や、警察、民間救急車の対応は違うのでしょうか。


本人が認めて初めて治療への道が見える。
でも別名、否認の病と言われるくらい、認める事が難しい病気です。
最初の、本当に最初の壁が高すぎるのです。
治療、断酒へのスタート地点にも立てない。
こうゆう患者へのアプローチは説得しかないのでしょうか。
その説得はお酒を飲んでいる人間にはまったく通じないと思うのです。
話が通じないのですから…。

たまたま民間救急車を見て、この時の事を思い出したのでブログを書きました。

 

酔うと化け物になる父がつらい