最期はお花に囲まれて、綺麗に送り出せました。
メイクをして貰って、老けたなと思いつつ、でもとっても穏やかな顔で、ただ寝ているような、そんな感じでした。
体はガリガリで、足も腕のように細かった。
それでも顔を見る限りは、少し老けただけで、母そのものでした。


棺に何を入れようか。
考えて考えて、亡くなる前日まで毎日連絡をとっていた母の友人に何がいいか聞きました。
すると、母が大事にしていた犬のぬいぐるみを入れてあげてほしい、喜ぶからと言われました。


それを言われて思い出しました。
母が子供の頃からずっと持っていたぬいぐるみがあったのだと。寂しがりやで、寝る時に側において寝ていたと…。


私は母が最期に住んでいたアパートの部屋に足を踏み入れる勇気がなく、旦那に頼んで部屋に入って貰い、無事にぬいぐるみを持ってきました。


それはそれはヨレヨレの、くたびれたぬいぐるみなんです。それでも母はそのぬいぐるみに手作りの服を着せ、ずーっと一緒の布団で寝ていました。子供の様な部分があった人でした。
なので最期もそうして、母の隣に置いて送り出しました。


私は世代じゃなくてわからないのですが、バロンという犬のぬいぐるみなんです。
調べると1978年1月から12月31日まで放送されていた、世界名作劇場の4作目の『ペリーヌ物語』というアニメに出てくる犬なんだそう。
両親を亡くした主人公のペリーヌが飼っていた犬で、旅をする主人公の側にいたそう。


ちゃんと母についていってあげてとバロンのぬいぐるみに私は話かけ、母にもじゃあねと、顔を触って送りだしました。
涙が出ました。


ガリガリだったせいか、火葬時間はとても短く、骨壺には母が亡くなる時までつけていて、大事にしていた指輪を入れてあげました。