週間大衆からの抜粋
すべての夢の頂点、この日この時が永遠の輝きに
変わる。
下の文章を読んで頂くと答えが出るのではないでしょうか?
去年の秋華賞一着と同じ馬番です。
高野友和厩舎です。
人生に役立つ勝負師の作法 武豊
一年に一度の大舞台。日本ダービーです
今年もまた、一年に一度の最高の舞台、「日本ダービー」がやって来ました。
ケガのためスタンドから観戦するしかなかった2010年、隣に座っていた競馬ファンのオジサンから、「武豊の出ないダービーはダービーじゃない」とまで言っていただいたことを思うと、まずは、人馬とも、無事にこの日を迎えられることを誇りに思い、喜びたいと思います。
――ダービーって、どんな雰囲気なんやろう?
19歳で初挑戦した88年のダービーは、16番人気のコスモアンバーに騎乗して16着。優勝したサクラチヨノオーに10馬身以上の差をつけられていました。
ダービーの雰囲気を楽しむどころか、「何がなんだかわからなうちにスタートして、何もできないうちに終わった……」という苦い思いが残っています。
その後も、厚い壁に何度も跳ね返され、口さがない人には、「武豊はこのままダービーを勝てない」とまで揶揄されました。
あれは、何度目の挑戦のときだったか。判で押したように、「あとはダービーだけですね」と気持ちを問われ、思わず、反発したこともありました。
「ダービーもそのほかのGⅠレースと同じ。特別なものじゃありません」
そんなワケないのに、ムキになっていました。
「僕よりベテランで、ダービーを獲っていない人なんてたくさんいるじゃないですか」
ダービージョッキーに年齢なんてまったく無関係とわかっていたのに、ぞんざいな物言いをしたこともありました(苦笑)。
若気の至りと許していただくしかありませんが、それだけ、ダービーは僕にとって特別なレース……すべてと引き替えにしてでも獲りたい最高の勲章でした。
父も母も祖父母もすべて戦友の一頭
今年、この最高の舞台で僕のパートナーを務めてくれるのは――栗東、高野友和先生が管理するポルトドートウィユです。
母ポルトフィーノ、母の父クロフネ、母の母エアグルーヴは、いずれも共に戦ってきた戦友。父ディープインパクトは、僕の競馬人生を語るとき、真っ先に名前の上がる最高のパートナーです。そう、父ちゃん母ちゃんだけでなく、ジイちゃんもバアちゃんも、みんなお馴染みの馬ばかり。大げさな言い方をすれば、――僕とコンビを組まずに誰と組むのか!? という間柄です(笑)。
初めての距離、初めてのコースという条件に加え、"何とか間に合った"というこれまでの道のりを考えるとあまり大きなことは言えないのかもしれません。
しかしこのレースは、勝った馬がダービー馬と呼ばれるのではなく、ダービー馬と呼ばれるにふさわしい馬が勝つレースです。そして、僕のポルトドートウィユもその資格を持っている一頭だと信じています。
5月31日、午後3時40分。ぜひ東京競馬場に来ていただきたいところですが、今年は、テレビで――という方は、スタートからゴールまで、そのすべてを目に焼き付けてください。
■武豊 プロフィール
1969年3月15日、京都生まれ。1987年の騎手デビュー以後、通算3500勝、日本人騎手初の海外GI制覇、年間200勝突破など数々の金字塔を打ち立て、現在も活躍中。