忘れてなんかない。
毎日、空を見上げては胸がきゅっとなる。
震災の年、5月23日付の読売新聞朝刊「人生案内」の記事。
記事そのものは手元に無いのだけど、読んで涙が止まらなかった。
その光景が、苦しいほどに浮かんでくる。
あの日、どれだけの人がこんな苦しい選択をしたのだろう。
後に同紙にその記事の事が取り上げられていた。
「祖母置いて逃げた」に反響
<あの日、祖母と一緒に逃げたが、祖母は坂の途中で座り込み「行け」と言い、私は一人で逃げた。祖母を見殺しにした自分を呪って生きていくしかない>
東日本大震災で被災した大学生の女の子からの相談が掲載された。
「祖母はあなたを救えて幸せだった」「私も祖母と同じことをするだろう」
など、100通以上の反響があった。
当時、回答をした心療内科医で白鷗大教授の海原順子さんが振り返ってコメントを寄せた。
「行け」の判断 共感呼ぶ
あまりに重い相談内容で、読んだ当初は凍りつきました。
「孫娘だけなら助かる」と判断して孫を一人行かせた祖母は、その人らしい生き方をしたのだと思い、「誇りを持って生を全うした祖母の素晴らしさは、あなたに受け継がれている」と回答しました。
反響の手紙が多かったのは祖母の生き方に、多くの読者が共感したのだと思います。
実は、相談文中に「地震」「津波」という言葉が全くありません。
大学生は発生から時を経て、この悲しい体験を相談できるまでになった。
ただ「津波」などはまだ生々しすぎて、表現できなかったのでしょう。
相談者は投稿という形で一歩踏み出せた。
つらい体験をした人には、その中を生き抜いていけるすごいエネルギーがあります。
彼女もそうだと思います。 (談)
もう誰も悲しい思いをしてほしくない。
14時46分に黙祷。