


桐蔭学園の先発、小柄なサウスポーの伊禮がMAX130kmほどのストレートに、110km前後のスライダーやカーブ、さらには90kmそこそこのスローカーブを駆使して、強打の常総学院打線をかわして、試合をつくったのが大きく、7回に3ランを浴びて降板したものの、打ち気にはやる常総打線が遅いボールに翻弄され、とくにスローカーブにタイミングがまったく合わず、空振りを繰り返していたのが印象に残り、勝利につながる頭脳的な投球術でした。
7回にようやく本領を発揮して、一気に5点をもぎ取りながら、勝ちにつなげられなかったのには、リリーフした投手陣が本調子になかったのも敗因のひとつでしょうが、ランナー2塁や2、3塁のチャンスに凡退したり、一塁走者が2度も牽制で刺されたりするなど拙攻も目立ち、3点をリードして、相手の攻撃を0に抑えての8回表、一死後、センター前ヒットが出て、7番打者の局面において、「ここは絶対に送りバント」と一緒に見ていた人たちに言ったところ、一瞬の沈黙のあと、「2アウト2塁より、打たせてチャンスを拡大した方がいい」とか「2本ヒットを打って当たっている中山にバントはない」とか同意されないことにも納得しつつ、「ここは次の1点を何としてももぎ取るというメッセージを、相手に対しても、味方に対しても発する意味で、何としても2塁にランナーを送るのが目の前の勝負に勝つために必要だと思います」と説明して、ほんの少し伝わったようでも、実際には強攻に出て、盗塁を試み、失敗、空振りした打者は守備妨害を取られ、3アウトチェンジとなりました。
常総学院は、先発のエース岡田に7回の攻撃で代打を送ったため、8回から菊地投手を投入、球速こそ140kmをマークするものの、制球が定まらず、7回に四球をひとつ与え、8回、先頭打者に四球を与えたところでセンターを守っていた中妻と交代、8回を無難に抑えながらも、9回に1死を取っただけで走者3人を残して再びセンターの守備に戻り、代わった和田投手は、1番冨田を三振、つづく山本をサードの前へのゆるいゴロに打ち取ったにもかかわらず、送球が遅れ、2点差となり、一瞬、勝ったと思ったそのあとに痛恨の一発を浴びてしまいました。
結果的には、個々の力に上回る常総学院は9安打を放ち、一旦は逆転して3点差をつけながら、5安打しか打てなかった桐蔭学園の最終回の粘りに屈し、継投ミスが勝敗を分けた形となりましたが、負け試合にはいくつもの悔やまれるシーンが浮かんできて、「負けに不思議の負けなし」を実感させ、その根底には、7回にひっくり返し、その裏から四番打者を引っ込めて、守備固めに出るのは、チームの柱を取っ払う愚挙でしかなく、二番手投手の早い交代にも疑問符がつき、もう少し選手を信頼し、ゲームプラン通りに進めて、どっしりと組み合い全力を出し切る試合をしないと、力を余して負けるこの試合のような敗北がつづき、監督と選手との信頼関係も醸成されず、「甲子園に呼ばれないチーム」になってしまうような気がしてなりません。