

「虐待やネグレクト」であったり、「教育と体罰」であったり、「介護の現場」であったり、現代の重い社会問題を取り扱いながら、陳列するばかりで、何ひとつとしてまともに向き合わないのが物語を薄っぺらにしていて、解決策があるとも思えず、安易に答えの出せる問題ではないにしても、独自の視点や切り口があるわけでもなく、その場にいかにもいそうな人たちが、いかにも言い出しそうなセリフを述べ、動機も希薄なら、その行動にいたる葛藤があるわけでもなく、淡々といかにもありがちだが現実感のない場面の垂れ流しで、何かしらの光明を見出すわけでもなく、絶望の淵でわるあがきするわけでもなく、「貧困の連鎖」を断ち切ろうとするのは言葉だけが上滑りしているだけで、踏み込みもしなければ、出口を見出す糸口すら感じられない。
製作スタッフの中に、「児童虐待していた母親がホームレスになって野垂れ死にするなんて安直過ぎじゃないですか」とか、「問題が広すぎてもう少し絞ったらどうですか」とか、「主人公の行動にまったく感情移入できないのはなぜですか」とか、「養護施設で虐待していた先生はいい人なんですか」とか、「逃げた人を探し歩くっていう写真なんですか」とか、「クライマックスが主人公が車にはね飛ばされるってギャグですか」とか、「河原で主人公がギターを弾いて歌って終わりってあんまりじゃないですか」とか、「結局何を伝えようとしたんですか」などと、監督に質問や進言をできる人がいなかったのだろうか。
練れてなく、カタルシスの落ちないつまらない話を、さらに助長しているのが、シーンの尺が長すぎて、間延びした冗漫な印象を与えていることで、そもそもなくてもいいシーンが多すぎる。
ありがちな社会問題を羅列するだけでは、少なくとも映画の作品とはとても呼べないし、盛り上がりに欠け、何ひとつ合点の行くところのない、レベルの低い笑うに笑えない冗談を聞かされた気分で、やり切れない思いだけが残された。