


林百貨店は、山口県出身の林方一により1932年に創業し、鉄筋コンクリート6階建て、壁面に石やレンガを貼った建物で、台南では唯一のエレベーターを設置し、手動式のシャッターを備えた最先端でもあり、当時の目抜き通りの末広町にあって、大いににぎわったそうですが、大東亜戦争中に米軍の空爆を受け、一部損壊、敗戦によって廃業、戦後は国民党政府の台湾製塩総工場や塩務警察総隊事務所などとして使われ、事務所移転後の1980年代以降は空きビルとなっていたものの、2010年から3年の歳月と8000万元の費用をかけて台南市が修復、台南のファッションビル運営会社が借り受けて、2013年7月にリニューアルオープンし、林百貨として新しい歴史を歩み始めました。
パイナップルパイなどを買ったあと、買物袋をぶら下げて、台南の夜の町を歩き、オランダ人が1653年に築城した赤崁楼を門の外から眺め、台南の担仔麺の店でも有名な度小月は閉店していたため、さらに歩いていくつかの店が営業しているところがあったので、担仔麺の店を選んで歩道にある机の前に陣取り、愛想のいい女性店員に注文し、食べてみるとあっさりしたスープが絶品で、もうひとつ注文したくなるほどのうまさで、代金を払う際に、作っていた男性に「ベリーグッド」「デリシャス」などと伝えると、満面の笑みで喜んでくれました。
台南名物の担仔麺を食べ、駅に向かって歩いて行くと、煌々と灯かりのついたファストフード店が目に止まり、肉まんか小龍包でも食べようと中に入り、メニューを見ると「鍋貼5元」と書いてあったので、肉まんを蒸し器の中を指さして頼んだあと、餃子の王将が客の注文を厨房に通す時に中国語のような言葉で叫んでいたのを思い出し、チャーハンとギョーザであれば、「ソーハンイーガーコーテル」であり、天津版とギョーザであれば、「テンハンイーガーコーテル」であるので、ギョーザは「コーテル」で、5個は「ウーガー」だろうと、「コーテルウーガー」と注文してみたところ、初老の女性の店員は「アアーン」と怪訝そうな声を上げて聞き返し、もう一度「コーテル」と言ってみたものの、怒ったような表情をしているので困惑していると、「メイアイヘルプユー?」と家族で食事をしていた若い女性が話しかけてきて、とっさに持っていた林百貨店のリーフレットに「鍋貼」と書くと、その若い女性が初老の女性店員に注文してくれ、すぐさま「メイヨー」と答えが返ってきて、売り切れであることを悟り、その若い女性に「鍋貼」はどう発音するのか訊ねると、「ギョーテー」と教えてくれ、何度も「シェーシェー」と礼を言って、肉まんの代金を支払って、店内で食べ始めましたが、餃子の王将もまったく通じないおかしな中国語を用いているのに対して抗議するつもりもなく、ただ「コーテル」が秘部の俗称であったり、やくざの符牒であったりしないことを願うばかりで、ギョーテとはギョーザのことかとひとつ賢くなったので、今後は鍋貼を食べたい時には、すんなりと注文できそうです。
台南の町も気候がちょうどよく、治安も日本同様なので安心して町歩きができ、食事も口に合うので、とても居心地のいい町でした。