


鞍馬といえば、源義経が幼少の折、天狗から剣術を習ったという逸話があまりにも有名ですが、こういう山深い環境で修行を積めば、達人にもなれるでしょうし、師としてカラス天狗が出てくるのも何となく頷ける気がしてきます。
鞍馬や貴船は山の中にあっても、古代から人の往来があり、数々の伝説の地として語り継がれてきましたが、都が置かれた平安時代以降は、ホタルの名所として和歌に詠まれるなど文化人も数多く訪れ、鞍馬寺や貴船神社への信仰の道としても尊ばれ、現在では貴船の川床や流しそうめん、ぼたん鍋なおの季節の味が楽しめて、温泉や料理旅館などがある京の奥座敷として、手軽に行ける行楽地ともなっているようです。
洛北は、山の裾野に開けた町から山へ分け入って行くひなびたところが最大の魅力であって、叡山電車に乗って、海抜53mの出町柳を出発し、海抜123mの二軒茶屋を過ぎたあたりから登山電車の趣を呈し始め、最急勾配50‰をものともせず登って行くさまは、紅葉の季節でなくても、木々の生い茂る美しい景観は四季折々に変化を見せ、季節の移ろいを充分に感じさせ、自然の豊かさを存分に味合わせてくれます。
京都の名所旧跡は、外国人にも人気を博して、どこへ行っても観光客であふれていますが、叡山電車内も例外ではなく、座席の多くは中国語を話す人たちに占められ、途中の駅で降りる際、一日乗車券を運転士に提示するように「ピャオ、ピャオ」と団体客に呼びかける添乗員がいて、一気に寂しくなった車内には、年金受給者としか見えない年齢層が取り残され、そのほとんどは数人のグループできた元気な女性でした。