


和歌山城に向かう駅前の目抜き道路に、観光客を歓迎するアーチがかけられ、そこには、和歌山市駅の近くにあるワカヤマ第1冨士ホテルとワカヤマ第2冨士ホテルの文字が大きく刻まれた広告看板が真ん中に取りつけられて、昭和のいい時代には大変に潤ったことをしのばせる記念碑のようでもありましたが、町全体が年をとり、精気を失ってしまったかのようであっても、2つのホテルは粛々と営業をつづけていて、宿泊予約をしてあった第1冨士ホテルの前まで歩いてくると、駅前の一等地に、一階部分が駐車場になっているという震災前の設計であることを声高らかにアピールしながらそびえ立ち、空きがないくらいすし詰めの満車状態になっていたのは、駅前の便利な立地であっても、自家用車でやってくる利用客が多いことを示していました。
小さなフロントでチェックインし、客室に入ると、事前に知らされていた通りの9平米という面積を肌で知ることができ、ユニットバスとベッド、つくえといすで部屋はもはやいっぱいであり、ベッドの足元の窓際の棚に小型冷蔵庫が据えつけられ、その上に薄型テレビが乗っているきわめて機能的なつくりになっていました。
一晩寝るだけなので、何の不平不満もなく、歩き回った心地よい疲れもあって、8時間以上ぐっすりと眠ってしまい、あやうく無料の朝食にありつけなくなるほどでした。
8階の朝食会場からは、取り立てて珍しい風景でもない和歌山の街並みが見晴らせ、おにぎりと味噌汁、肉じゃがなどを軽く食べ、コーヒーを飲んでゆっくりしましたが、活字中毒者としては、せめて地方紙でも読みたかったというのが唯一の心残りでした。