


夜行列車の寝台料金は、一般に、標準的なビジネスホテルの宿泊料金よりは圧倒的に高く、活動していない時間を移動に充て、時間を効率よく使うのにはメリットがありました。
特急料金や指定料金で乗れた夜行列車の場合は、座席に一晩中腰かけているのはかなりの苦痛をともない、空いていればふたり分の席を占領して横になることもできましたが、多客期は席に座れない乗客もいて、昭和50年代くらいまでは、通路に新聞紙を敷いて横になっていた人もいたように記憶しています。
夜汽車に揺られてみたい、と夜行列車が廃止されるニュースを聞くたびに思いつづけてきていましたが、いま思い立って乗車できるのはサンライズ出雲しかなく、松江城に登ったあと、出雲市へ移動して始発から乗るつもりが、松江で時間を費やしてしまい、結局、松江から乗り込むことになりました。
寝台車ではなく、座席扱いで特急料金のみで乗れる「ノビノビシート」でしたが、横につながった大型の二段ベッドのようで、隣の人との仕切りこそないものの、手足を伸ばして横になれるのはやはり楽であり、シーツも用意され、くるまって眠ってしまえば極楽で、数が少なくなった夜行列車も、乗客の乗り心地や身体の疲労にも配慮しつつ進化していて、こういう列車が昭和の時代からあれば、きわめて快適な移動ができたのに、と旧国鉄に恨み言のひとつも投げつけたくなりますが、乗せてやるのだからつべこべ言うな、という高度成長期のサービスがわるくても客が押し寄せる時代は終わり、平成に入って、日本も人口減少の時代に突入し、それとともに、今後はますます鉄道の利用客も減るでしょうから、乗客の立場からの目線で車両も開発し、移動のためだけでなく、列車に乗ること自体も楽しんでもらう時代に移ってきて、航空機や高速バスとの競争も激しくなる中、鉄道のよさは、車内である程度自由に動き回れるひとり当たりの空間の広さであり、食べ物やゲームなどを持ち込んで、自宅にいる時と同じような時間を過ごせることであり、やはり、移動する乗り物としては、優位性があるように思えました。