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こおろぎ橋は、大聖寺川にかかる総檜造りの橋、江戸時代からかけられていたとされますが、元禄2年に訪れ、9日間滞在した松尾芭蕉の記述にはなく、おそらく、その数年後に、現在のような姿に似た橋がかけられたと推測されます。
山中温泉街に沿って、深く切れ込んでいる渓谷は、鶴仙渓と呼ばれ、鬱蒼と茂る木立の中を、大きな岩にぶつかりながら、激しくなったり、ゆるやかになったり、清らかに流れ、新緑の頃には、木々の緑と水の碧とがとけ合って、生命のみずみずしさ、力強さを感じさせてくれます。
鶴仙渓には、木造のこおろぎ橋、鉄製のあやとりはし、石造の黒谷橋がかかり、それぞれに趣があって、かもし出す風情の違いを味わうことができ、散策に彩りを添えてくれました。
川を渡る橋には、ただの近道の通路としてだけではなく、此岸と彼岸との間、そこにさまざまな人の思いがあって、無数の物語が生まれては消え、人と人との気持ちの通い合う場であり、時にはすべてを変えるために、時には運命から逃れるために、希望と絶望、期待と不安の橋渡しであったかもしれません。
こおろぎ橋は、ポーラテレビ小説のタイトルにもなり、半世紀以上に渡って生きた人なら多少は覚えている名前とはいえ、いまでは観光用の橋に過ぎず、何の感傷もなく渡ってしまえば、ただの木でできた橋、中央あたりから川面をのぞき込めば、少しばかり足元がすくむくらいのものでしかありません。