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羽田空港の第2旅客ターミナル3階にある「羽田空港美術館ディスカバリーミュージアム」は、小さいながらも、見ごたえのある企画展を催し、展示してある美術品も珠玉の作品揃いで、飛行機の待ち時間に訪れるだけではなく、わざわざ見に行く価値もある空港内美術館です。
第21回企画展は、「武者小路実篤が描く日本の春」として、武者小路実篤(1885~1976)の「野菜図屏風」のほか、著作の初版本や、色紙絵などが展示されていました。
武者小路実篤は、志賀直哉(1883~1971)や里美弴(1888~1983)らと、明治43年(1910)に文芸雑誌「白樺」を創刊し、白樺派の作家として、60年以上に渡る創作活動を行い、「愛と死」や「友情」などの小説、「ある青年の夢」などの戯曲、そのほかにも人生論や美術論を著すほか、40歳頃から絵筆を取るようになり、四季折々の野菜や果実、草花など、自然の中にある美しさに着眼し、「生命が内に存在するものは美なり」として、独特の作品を生み出しました。
武者小路実篤の小説は、教科書にも載っていたようにも記憶していて、その後、何冊か文庫本を買って、読もうと試みたことはあるのですが、あまりにもまっとうで、正しさを大上段に振りかぶって、短い文章をたたみかけてくる迫力に恐れをなし、好ましいとも面白いとも思えず、最後まで読み切れなかった苦い思い出があり、ただ単に、受け取る側の能力不足に起因しているのは疑いの余地はないものの、有名な色紙の「仲良きことは美しき哉」のような納得せざるを得ないことを、真正面から、堂々と何の衒いも照れもなく見事に言い切られてしまうと、生まれ育ちのよくない者としては、少々気恥ずかしくもあり、何だかわるいことでもしているかのように、つい目をそらせたくなってしまいます。
武者小路実篤は偉大な作家であり、作品以外の功績も立派であって、尊敬に値すると思いながら、「野菜図屏風」を眺め、著作本の展示を見て歩き、ふと、「本日の偉たれ人々」という題名が目に飛び込んできて、偉たれって何なんだ、といぶかしみ、すぐに「日本の偉れた人々」なのだと読み直しましたが、おそらく、優れた小説の数々もこうした読み間違いをしていて、魅力に気づけなかっただけなのではないか、という愚かさに思い至り、さらには、正論につい反発してしまい、わるふざけのたわけた人生を送ってしまったことにも後悔の念が浮かんできました。