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下田東急ホテルのキャッチフレーズは「ナティエブルーの入江を見下ろすリゾートホテル」で、ナティエブルーって何なんだ、そもそも何色なんだ、と疑問を持ち、すぐに検索すれば、たちどころに調べられるのが現代のいいところであって、パソコンもケイタイもなかった時代であれば、色見本を見るか、百科事典を引くか、何かしらの努力が必要ながら、しばらく時間が経てば、「ナティエブルー」は忘却のかなた、そういえば何とかブルーって書いてあったよなあ、で終わってしまうのが怠け者の常で、すべてがなかったことになってしまうのが劣等生の習性でもありました。
ナティエブルーとは、フランス・ロココを代表する画家ジャン・マルク・ナティエ(1685~1766)に由来する青色で、王室つきの肖像画家として、描法や色彩で人気を博し、「アレキサンダー・クラキンの肖像」(1728)や「ロアンの姫」(1741)が代表作で、緑がかった青色のこと、と検索の結果を知ったところで、ロココもわからなければ、絵も見たことがなく、何ひとつ理解しないばかりで、以前に廃品回収業界の重鎮の「検索すればわからないものはない、東大卒と同じ」という博識ぶりが金沢大学の教授を超えていると思い込んでいる人の台詞を聞かされましたが、検索して、知ったつもりになるのは自由でも、ほんとうに理解するには、その世界についての最低限の素養や知識が備わっていなければならず、教養も学識もない者にとっては、ここからさらに踏み込んで行くかどうか、もっと精度の高い知識を得るよう努力をつづけられるかどうかが試されているのであり、知識が血となり肉となるには、基礎学力があった上で、対象への探究心を持ちつづける才能が必要なのは当然で、入口の前に立ったからといって、何かをなし遂げたと勘違いするのは愚の骨頂のような気がします。
ナティエブルーに余りにもこだわって、下田東急ホテルに宿泊して、快適に過ごせたことをつい忘れてしまいそうになりましたが、伊豆半島の突端に着いた頃には、すっかり日も暮れてしまい、狭く曲がりくねった坂道を上ると、白い湾曲した建物が見えてきました。
斜面を利用しているため、3階がフロントになっていて、エレベーターで下りていく1階に宴会場や温泉施設、レストランなどがあり、客室で少しばかり休んだあと、温泉につかり、旅の疲れを癒しました。
翌日は、入江を見下ろしながら庭園を散策しましたが、三島由紀夫が逗留し、歩いたと思われる庭園をうろつき回り、眺めたと思われる下田湾を見下ろすと、感無量、こうした風景が作家の胸のうちにおさまり、もの思い、やがて発酵して、作品にも投影されているのかと考えるだけで満ち足りた気持ちになりました。