


現在は、たぬきの置物などの陶芸の町として全国に知られている信楽の山中に、ミホミュージアムはひっそりとたたずみ、神慈秀明会の会主のコレクションを収蔵、展示するため、ワシントンナショナルギャラリー東館やボストン美術館西館などを設計したI.M.ペイによって自然の中に同化した建物として八割方地下に埋設した形で建設され、独特で先鋭的でありながら、日本の寺社をどことなく感じさせる伝統や文化を踏まえた外観でもあり、強烈な印象を残す、きわめて意識的な意匠でした。
「かざり 信仰と祭りのエネルギー」と銘打たれた春季特別展は、もともとひたすら祈る者たちだけの祀りから、観衆のいる見られる祭りへの変遷をたどり、法会の伎楽や舞楽などの芸能、密教の修法における曼荼羅図や法具などから、祭りのにぎわいが描かれるようになった絵巻や屏風、曳山祭の欄間や幕まで幅広く展示されていましたが、今回の特別展の目玉でもある伊藤若冲の筆による「樹花鳥獣図屏風」の中の升目描きの白い象は、作品の精度よりも、斬新で、わかりやすい面白さが抜きん出ていて、やはり強く印象に残りました。
コレクションは、エジプト、メソポタミア、中国など広範囲に及び、ルーブルやエルミタージュ、国立博物館などとの比較はできないまでも、個人の博物館としては桁違いの展示ではありました。
もう一度行きたいと思える博物館でした。