


龍泉庭は、護岸に立石をしつらえ、中島へかかる橋が二ヶ所あり、山畔に観世音菩薩の石像が置かれ、信仰の庭でもあるようで、野趣あふれる石組でありながらも、静謐さも感じられて、山の斜面に池泉を築くにはちょうどよい平地に、巧みに作り込んだ味わい深い庭でした。
鐘楼門をくぐって、右手、観音堂の前に広がる石庭は、スギの巨木とコケの緑との間に、中央の尖り石に寄り集まってくるかのように巨石が配され、尖り石が慈悲の心とするならば、周囲の衆生はあまなく救われているようにも見えてきます。
本堂から観音堂を拝観し、廊下を伝わり背後に出ると、築山の上部にはスギやシイなどの巨木が繁り、池泉周辺にはツツジの植栽が彩りを添え、自然の地形を生かしながら、三尊石や灯籠なども配し、とくに本堂裏から客殿にかけてが秀麗で、本堂から飛び石が打たれ、客殿に渡る石橋や、立石をふんだんに使って組んだ出島の石組は豪快でありながらも、全体的に穏やかな印象を与え、ややマツやツツジの植栽がうるさい感じはするものの、思わず足を止めて見入ってしまう景観でした。
古刹ならではのさまざまな表情が、悠久の時の流れを感じさせてくれました。