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中谷宇吉郎は、明治33年(1900)石川県江沼郡片山津に生まれ、錦城尋常小学校、小松中学校、第四高等学校、東京帝国大学と進み、理学部で寺田寅彦に教えを受け、卒業後、理化学研究所で寺田研究室の助手となり、英国留学後の昭和5年(1930)に北海道帝国大学理学部助教授となり、教授になった昭和7年頃から雪の結晶の研究を始め、十勝岳で雪の結晶の写真を撮り、昭和11年(1936)には北海道大学内の低温実験室で、世界で初めての人工的に雪の結晶を作り出すことに成功しました。
「中谷宇吉郎雪の科学館」では、1階の展示室に、「宇吉郎のひととなりゾーン」「雪の結晶ゾーン」「氷の結晶ゾーン」「グリーンランド・ハワイゾーン」「世界の中の宇吉郎ゾーン」と5つのゾーンで構成され、生い立ちや業績を知ることができ、人工雪の研究のため、北海道大学に設けられた常時低温研究室が再現されて、雪の結晶を作り出す実験装置も展示してあり、実験コーナーでは、ムライ式の人工雪の結晶が見れたり、ダイヤモンドダストを作り出したり、氷が融ける過程のチンダル像が観察できたり、金属で氷をはさんでペンダントができるなど、実際に雪や氷に触れることもでき、中庭にはグリーンランド氷河の60tの石が敷きつめられた「グリーンランド氷河の原」があり、2階の映像ホールでは25分の記録映画が上映されて、時間を忘れて一回りすれば、雪や氷についての知識が得られるようになっています。
中谷宇吉郎の功績は、寒冷地の地面が盛り上がり、鉄道や道路などに被害を与えていたことを地盤改良によって解決したり、飛行機の着氷防除や飛行場の霧消散方法を研究したり、農地の融雪促進や水田の水温上昇を指導したり、実際に役に立つことも多かったのでした。
中谷宇吉郎は、フランスのラスコー洞窟の1万5000年前にクロマニョン人によって描かれた壁画を見て、対象をしっかり観察しなければいけないと思ったそうで、雪の結晶の美しさに魅入られ、写真に残すとともに、自らも作り出し、研究の成果は世界中で評価され、研究者として名は高まっても、子供の頃のような身の回りの不思議に対する好奇心は失わず、絵を描き、随筆や記録映画でわかりやすく科学を説きました。
ハワイの高嶺に降る雪も、加賀片山津温泉に降る雪も、融けて流れればみな同じとは思わずに、真摯に研究しつづけた偉大な科学者は、昭和37年(1962)に亡くなりました。