


紀元前5000年頃には農耕が始まり、前3000年頃には統一王朝が誕生し、6690kmの世界最長のナイル川の恵みもあって、神の代理人・ファラオと、取り巻きのエリートたちによって強大な王権政治が営まれ、約3000年にわたり栄華を誇り、発展し、現在でも壮大なロマンと興味をかきたてられる魅惑のエジプト文明の一端をほんのわずかばかり垣間見ることができました。
エジプト文明の偉大さは数々ありますが、やはり文字によって記録を残したところにあり、ヒエログラフ(神聖文字)ヒエラティック(神官文字)デモティック(民衆文字)を読み解くことで、歴史や王家の暮らしぶり、考え方、死生観といったことを知り、古代に思いをはせられるのは、とても面白く、興味は尽きません。
ナイル川の氾濫による肥沃な土地を活用した農耕からの必要性から、太陽暦や測量法が発達していたのはよく知られているのですが、科学の進歩のその一方では、生まれ変わりであるとか、魔術的な祈りであるとか、今日的発想からは非科学的とも受け取れる考え、願いが支配していたのは、人智を超えたものへの畏怖があって、自然とともに生きる人間の根源的、直観的な意識があったのかもしれません。
エジプト美術の魔術と神秘の分厚く重い扉の向こう側には、大きな壁がいくつもあって、まだまだ奥が深く、頂もきわめて高そうで、扉の前に立ち尽くし、象の巨体のつめの垢くらいには触れることができました。