夜に学校へ通っていたため、さまざまなアルバイトをしましたが、新宿を起点に神奈川方面に伸びている電鉄会社の名前のついた運送店で、各駅停車しか停まらない駅の近くにある引越しを専門とする支店で、日当7000円即日払いで働いていた時、一番楽な夢の島への廃棄物処分は長期でやっているメンバーの持ち回りで二週間に一度程度あって、すでに積み込んである机やたんすなどをゴミの山に捨ててしまえば終わりなのでものすごく割がよく、通常は出勤予定日に朝7時に事務所へ行き、いくつかある個人の引越しの場合はドライバーだけが決まっていて、助手は早く出てきた順番に選択して、名前を書き込んで行く仕組みになっていて、当然、早く終わりそうな楽と思われる仕事から埋まって行き、きつい仕事は最後まで残っていて、ほとんどは無断欠席をする者がいるために予備で出勤している者に割り当てられることが多く、待っているだけで2000円ほどもらえても、あまり好ましい仕事ではありませんでした。
その中でも、もっとも厳しく、いやがられていたのが事務所移転で、大人数で行き、ほぼ丸一日こき使われても日当は同じなので、できることならやりたくなかったのですが、ある時、多摩地区の丘陵部にある図書館が建て替えをするというので、数日間、10人ほどの人足がトラックやワゴン車に分乗して、図書館の本の仮置き場への移転をするため、狩り出されることになりました。
世田谷の事務所から、ワゴン車に詰め込まれて、多摩地区の都立高校に行くまでの間、ドライバー以外は寝ていることが多かったのですが、図書館の移転という大きな仕事のため、急遽募集されたようで、見慣れない人が多くいて、何となく落ち着かないのか、リーゼントでキメた新人が、「このバイト、長いの?」などと話しかけてきて、「二ヶ月くらいやってますよ」などと答えていたら、しきりと、「睡眠不足で体調がわるい」と言うので、「何かやっていたんですか」と問うと、「昨日の夜、近くの公園でちんぴら4人に囲まれたけど、4人ともボコボコにしてやったんだよ」と控えめな口調で語るので、「それはすごいですねえ」と感嘆の声を上げてしまいました。
「いやあ、べつに、よくあることなんだよ」と謙遜気味につぶやくと、「高校2年の時、3年の一番強いといばっていたヤツにからまれて、ワンパンチ入れたら、4mくらい吹っ飛んで行ったんだよ」と言い、「ほおー、それはすご過ぎますねえ、ボクシングでもやっていたんですか」などと感心していると、ボクシングはやっていないがパンチ力だけは子供の頃から強かった、小学生の時から上級生の生意気なヤツをぶん殴っていた、それでにらまれて集団で復讐にきたけど2、3人ぶっ飛ばしてやったらみんな逃げて行った、中学の時も意気がっているヤツを一発で仕留めて黙らせてやった、新宿や池袋でもからんできたヤツをノバしてやった、などととめどなく、行きの車内は、リーゼントでキメた人の独演会となり、寝たふりをしながら、聞きたくもないのに耳に入ってきた武勇伝のおかげで、仕事をする前から疲れ切ったどんよりした表情で降りてきて、さっそく、一列に並ばされて、バケツリレーの要領で、本の詰まったダンボール箱を次から次へと運ぶことになりました。
やり始めると、一時間するかしないかのうちに、となりにいたリーゼントでキメた人の動きがわるく、ダンボール箱が滞るようになり、「大丈夫ですか」と聞いてみると、「お前、体力あるなあ」などと苦しげな表情でしゃがみ込み、「このくらい朝飯前ですよ」などと言い合っているうち、がっちりした体格で、口を開くのは作業員をどやしつける時だけという責任者の社員がやってきて、「どうした」と一喝し、リーゼントでキメた人が、「体調がわるいので早退させてください」と哀願すると、「わかった、すぐ上がれ。駅まで送って行かないから歩いて帰れ。一時間分の給料出すから、明日事務所へこい」と言うと、すごすごと去って行き、「くる時のワゴンの中では力の強そうな人に思えたんですけどねえ」と笑いながらワゴン車を運転していた責任者に話しかけると、「あんなバカ話を真に受けて相槌打つヤツいるか、バカヤロー」と仁王像のような恐ろしい顔でどやしつけられてしまいました。
その中でも、もっとも厳しく、いやがられていたのが事務所移転で、大人数で行き、ほぼ丸一日こき使われても日当は同じなので、できることならやりたくなかったのですが、ある時、多摩地区の丘陵部にある図書館が建て替えをするというので、数日間、10人ほどの人足がトラックやワゴン車に分乗して、図書館の本の仮置き場への移転をするため、狩り出されることになりました。
世田谷の事務所から、ワゴン車に詰め込まれて、多摩地区の都立高校に行くまでの間、ドライバー以外は寝ていることが多かったのですが、図書館の移転という大きな仕事のため、急遽募集されたようで、見慣れない人が多くいて、何となく落ち着かないのか、リーゼントでキメた新人が、「このバイト、長いの?」などと話しかけてきて、「二ヶ月くらいやってますよ」などと答えていたら、しきりと、「睡眠不足で体調がわるい」と言うので、「何かやっていたんですか」と問うと、「昨日の夜、近くの公園でちんぴら4人に囲まれたけど、4人ともボコボコにしてやったんだよ」と控えめな口調で語るので、「それはすごいですねえ」と感嘆の声を上げてしまいました。
「いやあ、べつに、よくあることなんだよ」と謙遜気味につぶやくと、「高校2年の時、3年の一番強いといばっていたヤツにからまれて、ワンパンチ入れたら、4mくらい吹っ飛んで行ったんだよ」と言い、「ほおー、それはすご過ぎますねえ、ボクシングでもやっていたんですか」などと感心していると、ボクシングはやっていないがパンチ力だけは子供の頃から強かった、小学生の時から上級生の生意気なヤツをぶん殴っていた、それでにらまれて集団で復讐にきたけど2、3人ぶっ飛ばしてやったらみんな逃げて行った、中学の時も意気がっているヤツを一発で仕留めて黙らせてやった、新宿や池袋でもからんできたヤツをノバしてやった、などととめどなく、行きの車内は、リーゼントでキメた人の独演会となり、寝たふりをしながら、聞きたくもないのに耳に入ってきた武勇伝のおかげで、仕事をする前から疲れ切ったどんよりした表情で降りてきて、さっそく、一列に並ばされて、バケツリレーの要領で、本の詰まったダンボール箱を次から次へと運ぶことになりました。
やり始めると、一時間するかしないかのうちに、となりにいたリーゼントでキメた人の動きがわるく、ダンボール箱が滞るようになり、「大丈夫ですか」と聞いてみると、「お前、体力あるなあ」などと苦しげな表情でしゃがみ込み、「このくらい朝飯前ですよ」などと言い合っているうち、がっちりした体格で、口を開くのは作業員をどやしつける時だけという責任者の社員がやってきて、「どうした」と一喝し、リーゼントでキメた人が、「体調がわるいので早退させてください」と哀願すると、「わかった、すぐ上がれ。駅まで送って行かないから歩いて帰れ。一時間分の給料出すから、明日事務所へこい」と言うと、すごすごと去って行き、「くる時のワゴンの中では力の強そうな人に思えたんですけどねえ」と笑いながらワゴン車を運転していた責任者に話しかけると、「あんなバカ話を真に受けて相槌打つヤツいるか、バカヤロー」と仁王像のような恐ろしい顔でどやしつけられてしまいました。