


「マメ科ネムノキ亜科、落葉高木、2回偶数羽状複葉で互生、相対する小葉が合わさる睡眠運動をする」ネムノキは、高い木から、まばらに出た太い枝に葉を繁らせ、そのところどころに、うすべに色の花を咲かせていました。
松尾芭蕉は、「象潟や雨に西施がねぶの花」と詠み、どこか憂いを秘めた雰囲気に、傾城の美女を重ね合わせたようで、一見控え目なたたずまいながら、思わず目を引く美しさに、自転車に乗っていたら見上げたまま立ち木にぶつかってひっくり返るか、歩いて見上げていたらずれたマンホールのふたに気づかず下水に落ちるかしそうな、魅惑的な一面がありました。
万葉集にも、「昼は咲き夜は恋寝る合歓の花君のみ見めや戯奴さえに見よ」と紀女郎が誘えば、「我妹子が形見の合歓木は花のみに咲きてけだしく実にならじかも」と大伴家持は冷静につき返していますが、ネムノキが葉を閉じるのは、表面の水分を蒸散させないためと、かなり切実な理由のようです。
木の上に咲いているのを見た時には可憐で繊細そうで高嶺の花でしたが、落下していた花を見つけたら、派手なつけまつげが落ちているのかと勘違いしてしまうほど、少しけばけばしい感じがしました。