


映画監督・山田洋次は1931年(昭和6年)大阪府豊中市生まれ、満州で育ち、引き揚げ後、都立小山台高校から東京大学法学部に進学、1954年(昭和29年)松竹に補欠入社したそうです。
川島雄三、野村芳太郎の助監督を務め、1961年(昭和36年)「二階の他人」で監督デビュー、最新作「小さいおうち」は82作目となります。
「男はつらいよ」シリーズ全48作が有名ですが、家族とは、教育とは、と問いかけ、一般庶民を取り上げて喜怒哀楽を描いたり、時代劇三部作で義や筋を通す生き方を描いたりした数々の名作では、映像も奇をてらわず、真正面から取り組み、派手な事件も事故も起こらず、淡々とした物語であっても感動を呼び、地に足のついた演出と地道な仕事ぶりは他の追随を許さず、日本映画史上で偉大な監督のひとりであるのはまちがいないでしょう。
東銀座にあるシナリオ学校に通っていた時、山田洋次監督の特別講座があり、監督を取り囲んで、20人ほどの生徒がパイプ椅子に腰かけて、一言一句聞き漏らすまいと緊張して聞いていたことがありましたが、物静かな語り口でありながら、発する言葉は重く、奥が深く、人間を見つめる眼のあたたかさと鋭さに感銘を受け、受講者の愚にもつかない質問にも丁寧に真摯に答える姿には、「真面目な人なんだなあ」と思い、人柄と作風の一致にも感動しました。