国鉄沿線くそまみれ(いつかわおわり)

 線路脇を 歩きながら 列車見たとき 
  雨でもないのに しぶき飛び
 頬にかかる 飛沫ふいて においしたので
  まさかと思えば くそだった

 タンクを 早く 設置してくれと
  くそをぬぐい 猛り狂い 怒鳴ってみたけど
 ぬぉおおー
  国鉄沿線くそまみれ

 布団干して くそにまみれ こらえきれずに
  国鉄本社に 怒鳴り込み
 肥えを入れた バケツひとつ まいてきたけど
  職員わめいて 大騒ぎ

 タンクを 早く つければいいのです
  便器の下 線路見えて 怖くなります
 ぬぉおおー
  国鉄沿線くそまみれ

 タンクを 早く つければいいのです
  便器の下 線路見えて 怖くなります
 ぬぉおおー
  国鉄沿線くそまみれ

昭和50年代前半くらいまで、列車便所は垂れ流しだった。
貯留式汚物処理装置がすべての列車に設置されている現在では、とても信じがたいことで、「黄害」などという言葉もあったし、沿線住民にとってはたまったものではなかっただろうと推察する。
「停車中は使用しないでください」などと注意書きがしてあったが、当然高まる便意に抗える道理もなく、プラットホームで待っていると、対面のホームの列車から、ボトリ、ボトリと落下しているのが見え、最後に花紙がゆらゆら舞い降りてきて、あまりいい気持ちはしなかった。 
子供の頃は、二段式の床板に取り付けられた金属製の便器のゴムのついた丸い穴からのぞき込むと、落ちてしまうのではないかと思えて、恐怖を感じたものだった。
用を足している途中に列車が激しく揺れて、床にぶちまけてしまう乗客も少なからずいたようで、水浸しになっていたり、おつりがついていたり、とにかくにおいが残っていたことを覚えているが、いま振り返ると懐かしさも感じないこともない。