ひとの話を聞く、というのは、簡単なようで、むずかしい。
あさはかな思い込みや、ありきたりな価値観を、ついつい返答してしまいがちで、黙って聞き入れるためには、卓越した見識と器量が求められる。
他人に話を聞いてもらうだけで、気持ちの整理がついたり、一時の高ぶった感情が抑えられたり、なによりもそれだけで救いになっていたりするものだ。
ただ、話をする相手を間違えると、正しくない方向に驀進してしまう恐れもある。
話をする側も、話を聞く側も、お互い心に一点のくもりもないわけではなく、やましいところもないわけではなく、傷があるからこそひとの痛みを理解できるし、罪があるからこそひとの過ちを攻める必要もないし、同じ人間、わかり合えて、共鳴できればそれで充分に幸せなのだと思えてくる。