二十歳のころ、私は新聞配達をしながら、調布にあった音楽の専修学校に通っていた。
後期、「アンサンブル」の授業があって、浜田均先生のピアノに合わせ、ギター数人とベースとで、「スペイン」という曲を合奏していたのだが、私は弾きこなす水準に達していない上、低い技術をカバーするほどの練習も積んでいなかったため、間違えたり、リズムを外したり、迷惑ばかりかけていた。
曲の途中、先生がピアノを激しく叩いて演奏をやめ、「コンセントレーション!」と叫んだあと、「おれは人の二倍三倍練習したら、誰でもプロになれると信じている。練習できないのならやめてしまえ」と続けた。
私は思うところあって、ギターの道はあきらめ、大検を受け、合格し、朝から晩までアルバイトをして学費を貯め、夜間の大学に進学した。
数年後、先生がピアノの西さんとのディオで分倍河原のライブハウスに出演されているのを知り、専修学校の時の友人とともに見に行き、プロの卓越した迫力ある演奏に打ちのめされ、涙がこみ上げてくるくらい感動したのだった。