ニシン漁というのは、相当に儲かったらしい。
一網打尽にして、浜に用意した大鍋で煮て、絞り、「ニシン粕」という畑の肥やしにしていたそうだが、一説によると1万石は7500t、いまの通貨で20億くらいになったこともあるようだ。
回遊してきて、とっつかまって、ゆでられたあげくに絞られるニシンの方もたまったものではないが、漁をする側も勝負をかけて、いや、それ以上に人生そのものをかけていたようでもある。
作詞家・なかにし礼の兄も、しびれるような勝負に打って出て、瞬間夢をつかんだかのように見えたが、さらに利益を拡大させようとしたことが裏目になり、すべてを失った。
身近に大バクチを打つ人がいるというのもある種の災難だが、それを肥やしにして桁違いの名曲にまで昇華した才能には、ただただ敬服するばかりだ。