厳粛に真剣に思いをこめて歌い上げる五輪真弓には、シャレや冗談が通じそうにない。
木枯らしが吹きつけるようなイントロにつづき、思いつめた表情で歌いだす「恋人よ」は、一度聞いたらしばらく頭の中でリフレーンしそうな重い響きがある。
別れ話、というのは昔から歌や芝居の重要なシチュエーションで、どういう言動をするかによって、出来そのものにもかかわってくる。
♪この別れ話が冗談だよと笑ってほしい♪というのは、斬新な要望で、素直な心情の吐露とも受け取れなくはないが、実際に言われても、どういう反応になるのか想像しがたいものがある。
「冗談だよ」と笑いながら言って、ヨリが戻って、元のサヤにおさまるものなのか、私にとっては大いに疑問なのだが。