私は最近、物忘れが激しくなってきた。
もともとじゃないか、と言われれば否定することはできないが、出掛けに財布や眼鏡をどこに置いたのか探し回ったり、俳優の名前や映画名、歌手の名前や曲名、競走馬や騎手の名前も、残り少なくなったハミガキをチューブからしぼり出すように、アレ、アレと記憶をたぐっても、ひっぱり出しにくくなってきた。
年は取りたくないものだ。
病気なら、もっと困る。
少しづつ自分が壊れていくことに、耐え切れるだろうか。
記憶がなくなることは、社会生活が営みにくくなることだが、すべて忘れてしまえば、自分だけは楽になるだろう。
しかし、周囲の者にとっては、図体のでかい赤ん坊がいるようなもので、始末におえない。
お互い、つらいことだが、どう対処していいのだろうか。
映画のように、支え続けられるのだろうか。

  わすれものは なんですか
  思い出しにくい ものですか
  あれやこれやと あたまひねって
  考えたけれど 忘れ去ってる

  もともと 覚えちゃいない
  きれいさっぱり からっぽになって
  ふらふらさまよい ときどきわれに返って
  やばいと思うけれども どうにもできない
 
  るるるー るるるー
  はーあー

  夢のなかなら 夢のなかなら
  たすかるけれど
  きびしい 現実

明日はわが身。
いまを精一杯、悔いの残らないように生きるしか、すべはないようだ。