のんびりできる沖縄が好きで、那覇には年に2,3回出かけている。
ある夜、居酒屋で生ビールを飲んでいたら、60歳くらいと思われる地元の人が話しかけてきた。
国際通りのすぐ近くで生まれ育ったらしい。
ぼちぼちとあたりさわりのないことを話して、上京して学校に行き、就職をして、5年ほど前に里帰りしてきたということだった。
「やっぱりふるさとはいいものですよね」
「若い時は全然そう思わなかった。ここが嫌で東京に行ったわけだし、テレビや新聞で沖縄のニュースを見るたびに、しょうもないところ、だめなところだなって思ってきた」
「そんなことはないでしょう」
「ある時、変わったんだな。街にある大きなテレビなんかで沖縄が映ってたりするだろう。ああ、きれいだな、いいところじゃないかって、ふと思えてきたんだ」
「僕も田舎が嫌いでしたけど、結局舞い戻ってしまいました」
「なんだかんだ言っても、帰るのはここしかないんだな。あのママも、同じ小学校なんだよ」
ちらっと私たちの方を見て、何か言いかけようとしたが、座敷の方から声がかかって、呼ばれて行ってしまった。
沖縄と奄美は人も文化もよく似ている、泡盛の味は酒蔵によって全然違う、というような話を聞いて、連絡先を紙に書いてくれた。
今度来たら泊りにくればいい、うちのばばあも喜ぶよ、などと言って、「一度会ったら兄弟だ」という意味の沖縄方言を教えてくれた。
その後、何度か沖縄を訪れたが、連絡はしていない。
沖縄では泡盛を飲むことに決めたのだが、銘柄による味の違いはわからないままだ。
また沖縄へ行きたくなってきた。