私のひそやかな楽しみの一つに「キャバレー通い」がある。
主に関西方面、大阪、ミナミ界隈なのだが、大勢の女たちをはべらせて酒を飲みたいとか、ある特定の方とねんごろになりたいとかいうのではない。
過去にとりわけいい思いをしたわけでもなく、深いお付き合いをしたわけでもない。
毎回違う店へ行き、常連・なじみになることはなく、時間とお金を浪費して、千鳥足でホテルに戻るだけのことである。
もてるようなルックスでもないし、金離れもよくない、私のようなけちくさい客は、そもそも喜ばれないのだ。
普段もっともらしく表面を取り繕って息苦しい日々を過ごしていると、すべて投げ出してしまいたくなる時もある。
仕事の上でいやな思いをすることもたびたびある。
「ばかばかしいひと時がうれしい」という歌の一節があるけれど、必ずしも幸福とは言いがたい、多少の浮き沈みの半生を歩んできたホステスたちの、問わず語りの身の上話が私を喜ばせてくれる。
事実かどうかなど問題ではなく、そう思い込んでいる、あるいはそう思いたいという「けなげ」さに胸を打たれ、「それはオメーがアホな選択したからだろう」という言葉を飲み込ませる。
人生は選択の連続だ。こうなるべくして、こうなったのだ。
自分の選んだ道が間違っていたなら、出直せばいい。
人生は勝ち負けではない。
私は世間的には「負け組」で「下流社会」に属しているが、現状にはある程度満足している。
何のなぐさめにもならないが。

   がめつさと 知性のなさが
   隠し切れずに にじみ出る
   そんな女に なったのだから
   化粧でその分 埋め立てますと
   鏡見つめて 苦笑し直す
   花はナンバの 花はナンバの 姥桜
   (この替え歌はフィクションです。本文とは少ししか関係ありません)

「キャロライン洋子って知ってる?」
「知っとるでぇ、ハーフの子やろ」
お互い年をとりましたなあ。