いくつもの山をこえ、おくへおくへと進み、

 さいごのとうげを登りきると、

 くぼめた手のひらのようなへこみがあります。

 そこが、わたるの住んでいる村です。

 子どもの数がどんどんへりつづけ、

 今ではとうとう、小学生は、

 わたるひとりきりになりました。


 村で1番の友達は 九十三さいになる 伝じいで昔 鉄砲打ちだった。伝じいは三十二頭の熊を打った。伝じいは 熊を射止めると熊を恵んでくれた感謝と熊の魂を山の神に返すおまじないを唱える。


 ーアブランケンソワカ、アブランケンソワカ……


 伝じいが入院して・・・ わたるとの会話が素敵で そうかもしれないと思う。あるといいなぁ