ある日突然、モコはモコでは

なくなった


怪異の世界への、道先案内人と

なってしまった


まるで不思議の国のアリスに

出てくる白兎のように


ある日、アリスの前に

チョッキを着、ピンクの目をした

白兎が現れた


白兎は、チョッキのポケットから

懐中時計を取り出し

遅刻しちゃう、と呟き走り出した


アリスは白兎を追いかけ、兎の穴に

飛び込み、奇妙で、予測不可能な

世界へと迷い込んでいく


モコという名の

白地に茶ブチのロップイヤー


モコは、不思議の国のアリスに

でてくる、白兎そのものだった


また、白兎の持つ、懐中時計

そのものでもあった


彼女は、いつ如何なる時も

ゼロポイントであり、彼女を中心

として、時間も空間も、軽々と

飛び越えることが出来た


彼女の中に宿る

懐かしい、ベガの友のエネルギーは

時間神(クロノス)であり

空間神(カオス)でもある

そして、宇宙の愛の源の光そのもの

でもあった


あの日、モコの中に宿る

ワンネスの光を

愛の大河を見せられ


共に、始源の愛の大河の中へと

全ての源である

愛のエネルギーの中へと

戻って行った


守護天使アルフレッドは、2匹で

一本の、守り刀になると言った


モコが、源のエネルギーを

宿すのならば、ミミもまた

同じなのだろうか


そう思いミミを見るが

ミミはずっと、兎だった

いい意味で、普通の兎であり続けた


最近は、怪異現象があまり

起きなくなり

やっと静かに暮らせる

そう考えながら、

ミミの可愛い仕草を

ずっと眺めていた


突然空気が一変し

ミミはミミではなくなった


モコが、モコではなくなったように


ミミは、兎の姿をした、宇宙だった

ミミの中には、宇宙があった


あまりの事に、何も考えられず

ただ、ミミを眺め続けた


まるで、望遠鏡を覗き込み

何処までも広がる宇宙を

飽きることなく眺め続ける

幼子のように


そして私も、私という器に入った

宇宙だった


私達は、共に宇宙である、本来の

自己に戻り、共振しあい、融合し

さらなる拡大を成していった


ミミはただ静かに

その場に佇んでいた


私もまた静かに、ミミの宇宙を

見つめ続けていた


私達は、始まりに戻っていった


私達の、形有る者としての意識は

徐々に薄れていき、輪郭のみとなり

シャボン玉のような、互いの宇宙は

眩しい光に満ちた、漆黒の闇の中

近付いたり離れたりしながら

楽しげに、揺蕩っている


私達は共に源の光だった


私達は、同じものでありながら

個性を持つ何かだった


始まりであり、終わりだった


私達は、何処までも拡大する宇宙

であり、限界まで拡大しきった

途端、再び小さな一点としての

兎と人間に戻っていく


それはまるで、天の川銀河と

アンドロメダ銀河が、新しい銀河を

創る為に、溶け合い、混ざり合い

分離し、再び融合し、無限に

拡大していくかのようだった


拡大と収縮を、幾度も繰り返し

それは静かに収束した


一瞬であり、永遠である時空間の中

存在を許されている私達は、再び

娑婆や忍土と呼ばれる、日常の

ゾーンへと戻っていった


モコとミミ、そして自分の本当の

姿を認識し、受容し、全てを天に

委ねた時から、現実の世界でも

様々な変化が現れ始めた


それは、もはやモコという媒体を

介することなく、直接私の人生に

干渉し始めた


夜、眠ろうと、瞼を閉じた瞬間

「アクティベートしました」

と、女性の電子音声が

胸の奥深くから響き渡った


これは、私の心の中の宇宙からの

アナウンスであり、自分の魂の中の

今迄使われずにいた、何かが有効化

され起動した合図なのだ


やっと此処まで来たのか


「全てを天に委ねます」そう誓願し

深い眠りへと落ちていった


松果体活性化のルーティンを始め

宇宙の記憶を取り戻した日から

私の心は、過去、現在、未来

パラレルと、様々な方向へと

エネルギーが分散し始めた


それらを、現在の私の元へ戻そう

とするエネルギーが、反発しあい

収拾がつかなくなり、心身共に

疲れ果てていた


そんな頃に起きたアップデート

だった


記憶はいつも、痛みと哀しみを

伴い、決して、手放すことも

目を逸らすことも、許さない


現実生活での、様々な葛藤や

ストレスで、心が疲れ果てた時に

過去世の私もまた、耐え切れぬ

痛みに、悲鳴をあげている

私は此処にいると、叫び始める

救いを求める、その声が響き渡る


突然、奈落の底に

突き落とされたかのような

暗く重い感覚に囚われ

逃れられなくなる


仄暗い海の底へと、何処までも

静かに落ちていく


ある時様々な出来事は、彼らの

周波数帯に合わせる為に、自ら

引き寄せているのだと気付いた


重い、感情のエネルギーを身に纏い

それを重しとして、心の中の深海へ

ただひたすら潜っていく


早くて二〜三日、長くとも一週間で

彼らの元へと、辿り着く事が出来る


過去世の私の感情と、今ここの私の

感情がシンクロし、共振が起きた時

今ここの私が、過去世の私の手を

とり、共に海上へと、明るい光の

射す方へと、浮上していく


その頃、子供の問題で親子共通の

カルマが浮上していた


かなり厳しい状態だったが、魂の

外科手術だったといえるだろう

壊死した患部は、除去しなければ

生命も失う危険があるのだから


息子と共に、カルマに取り組む事

自体が、グラウディングとなり

私を、今ここに繋ぎ止めてくれた


何の問題もない状態だと、過去世の

私の怒り、哀しみに引きずり込まれ

戻れなくなっただろう


時々、今の自分が誰の人生を生きて

いるのか、解らなくなり、混乱して

しまうことがあったから


その状態だと、発狂しても可怪しく

はなかった。けれどそれは、私には

許されてはいなかった


過去世に作ったカルマから

眼を逸らす事も、無かった事にして

逃げ出す事も、決して許されは

しなかった


何故ならば私は、全ての過去世の

カルマを解消し、囚われから解放

させ、源の光へと、連れ出すために

生み出された魂だからだ


守護天使アルフレッドは、無慈悲

にも私に告げる


自らの撒いた種を、自ら刈り取る

ことは、宇宙の法則であると


息子はいつでも、私の魂の救済者

であり、介助者であった


今世もまた彼は、私の魂の救助の

為に、その身を差し出した


彼だけではない。夫も、両親も

友も、この人生で関わって下さった

人々は皆、私の魂の救済者なのだ