<答案用 判例に沿った判断過程統制まとめ>
★答案上使う判断過程審査の基準の整理
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行政法の論文試験対策において最も重要といえるのは、裁量統制といってよい。しかし、複数の重要判例があり、かつ、最高裁の判断枠組みも微妙に異なっていることもあるために、答案上どの基準を用いるかは悩ましいところではないだろうか。そこで、現在の最高裁に沿った基準を提示しようと思う。判例上も判断過程統制の手法が定着していると言われている。答案上も基本的にこの手法により判断するとのスタンスで十分であろう。
①事実基礎欠如(判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合)
又は、
②社会通念上著しい妥当性欠如(判断の内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合)
↑
Ex(②を判断する際の例示)
(a)事実評価明白過誤(事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと)
(b)要考慮事項の考慮不尽(判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと)
※「『十分』考慮せず」にすると、重みづけと考慮の程度まで踏み込んだ基準になる。
(c)他事考慮(本来考慮に入れるべきでない事項を考慮に入れること)
※「本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価」を入れると重みづけまで
【参考判例】
・最判平成18年11月2日(小田急訴訟本案判決) 等
※一般に基本書(ケースブック行政法(第4版)99頁)等で挙げられている、①事実誤認、②目的動機違反、②信義則違反、④平等原則違反、⑤比例原則違反という基準は、①が上記の基準の①と対応し、②~⑤は上記基準の②を判断する際の一例と考えればよい。
●上記判断過程審査の枠組みを掲げた上で、考慮すべき(すべきでない)事項を根拠法令たる個別法の解釈から導き、具体の事例において判例を意識した審査をすることが重要。司法試験においても、この考慮要素の抽出と具体事例における考慮の審査の点に最も重点が置かれるはずである。
※なお、一応指摘しておくと、行政と司法との関係において行政裁量が認められる場合(つまり、行政の判断が裁判所に対して優先する場面)というのは、三権分立の原則に対する重大な例外ということになる。よって、答案上も行政に裁量があるというためにはその例外を認める理由をしっかり述べる必要がある。上記の裁量統制の話に入る前に、裁量の有無・広狭の認定は必須である。その際、単に文言のみから裁量の有無広狭を論ずれば足りるものではないことは、最高裁判例を読めば明らかであろう。
※参考文献
・ケースブック行政法(第4版)
・判例時報710号 など
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ちなみに、↑この「基本行政法」中原茂樹 は大変素晴らしい基本書である。まず行政法総論、救済法、国賠などがすべて一冊にまとまっている基本書はめったにない。更に、内容面でも大変受験生にわかり易い平易な記述で、論文試験で問題を解くために非常に役立つものである。全ての記述が、いくつかの事例の解説の中で行われるため、抽象的な理解にとどまらず、(答案上も使える形で)具体的に理解できるように工夫が凝らされている。行政法論文試験において最も重要な個別法解釈は、具体の事案の中での実践でしか身につかない。その意味で、この「基本行政法」をつかって学習することを強くお勧めしたい。
以上
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