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団塊の世代が後期高齢者になる時期を前に、都心部の特養不足の解決策として、厚労省も動き出しました。
今後は、自治体の枠を越えて、都心部からアクアラインを使えば一時間以内に広大な土地の広がるかずさエリアに、都心部の高齢者施設が建設できるよう、各種規制の緩和を要望したいものです。

以下は日経記事より


厚生労働省は東京都を念頭に、都心の住民向けの特別養護老人ホーム(特養)など介護施設を郊外で整備しやすくなるよう規制を緩める。区域ごとに特養ホームの設置枠を設けているのを改め、2015年度から区域間で融通できるようにする。地価が高く設置費がかさむ都心では新たに特養ホームを増やすのが難しいためだ。  現在、都道府県は国の指針で特養ホームなどの施設を、各区域(老人福祉圏域)ごとに設けた枠内で整備する必要がある。その指針を見直し、例えば東京23区の住民のための整備枠を地価が23区の半分以下と安い多摩へ移し、多摩で区民向け特養ホームを整備できるようにする。施設の設置者にはコストの大幅軽減につながる。厚労省は来年度中に国の指針を改定し、15年度から適用する。  全国の高齢者人口の1割近くが集中する東京都は、特養ホームへの入所が特に難しい。入所を望みながら入れない、いわゆる「待機老人」は毎年4万人台で推移している。  なかでも人口密度の高い都心の23区は特養ホーム不足
が深刻で、高齢者人口に対する特養の整備率は1.07%と全国平均の1.38%を大きく下回る。都心は地価が高いため特養ホームの建設費がかさみ、設置する民間の社会福祉法人や区の負担が重いため整備が進まない。都心の地価は20年東京五輪に絡む再開発でさらに上がる可能性もある。  23区の住民が必要とする特養ホームを多摩で整備すると、入所するため多摩へ転居しなければならない区民も出てくる。ただ、特養ホームなどでは「住所地特例」で入所前に住んでいた自治体が運営費を負担する仕組みがある。多摩の特養ホームに23区の住民が入居しても多摩の市町村の財政負担は増えないため問題は少ないと判断した。  特養ホームは、原則として症状が重く手厚い介護が必要な人や所得が少ない人が入所する。自宅で介護サービスを受ける場合と比べ介護給付費がかさむため、国全体で施設を大きく増やす方向ではない。だが、団塊世代の高齢化で東京都は高齢者が急増しており、都内では特養ホームを一定程度増設する必要がある。
 都市部に集中する団塊世代の高齢化問題は東京に限らない。今のところ東京以外に強い要望はないが、今回の規制緩和は、他県でも都心で施設を整備しきれない場合に郊外で整備する道を開く。  東京など都市部の高齢者を、県境を越え地方に整備した特養ホームで受け入れようとする自治体もある。こうした県境を越えた施設の整備は、東京都杉並区と静岡県、同県南伊豆町のような自治体間に連携がある場合に限って認める方針だ。 (日本経済新聞 2013年09月13日より)