グリーンマックスが1980年代後半から展開して行った日本の民家シリーズは、他社の適当なストラクチャーに真っ向から挑んだ、鈴木社長肝入のシリーズで、とても気合いの入った内容でした。特に近郊都市にしぶとく残っている、古来からの日本建築にスポットを当て、魅力的な日本の風景を彩る建物を次々と発表、この代表的なキットが、入母屋2階建て商家と切妻2階建ての商家で、今回挙げるキットは後者になります。

関東近郊都市に今でも現存するスタイルの建物で、関東地区でなくても、地方の町並みをそれらしく再現する事が出来る、平均的な日本の商家と見る事が出来ます。

ランナーに付いた平面パーツと、きれいに印刷された窓ガラスを合わせるだけで、組み立ては至って簡単なのですが、塗装と看板等のステッカーでセンス良く仕上げる事がコツで、これを間違えたり適当に済ましたりすると、何とも滑稽でレイアウト上の茶濁しになってしまいます。くれぐれも実際の建物を参考にし、出来ることなら実際の街並みを見学するぐらいでなければ、良い仕上がりは望めないキットだと思います。

最近は手軽な塗装済みの半完成品も、数多くあるのですが、それを並べただけでは、判で押した様な古典的なNゲージ用の国籍不明の建物を並べていた頃の、誰が作っても同じ、退屈なレイアウト上の建物に成り下がってしまう様に私は思います。その点これらのグリーンマックス製のキットは、色々なキットのパーツを組み合わせたり、或いは自作のオリジナルパーツを組み込んだりする事が可能で、実際の建物と同様に2つと同じ物がない、リアルで面白い街並みを再現する事が可能です。そこで半完成の現代のストラクチャーについては、それらの自作したオリジナルの建物と一緒に、一部で共存する為にある物と私は考えています。

ベテランのレイアウト建設者にとって、宝の山に見えるグリーンマックス製のキット群。これからの時代、ますます輝いて行く事を期待しています。

(写真のキットの内容は1軒分で、実際は2棟分で1セットとなっています。)

1987年発売 発売当時価格 1.600円(現在もパッケージと内容を一部変更して発売中)