なつかしの家電コレクション、今回は初期のパーソナル・トランジスタラジオ『パナペット』です。

1963年に発売された『R-8』と言う形式のこのラジオは、実用品としてのラジオの機能に加えて上部に小物入れをプラスした、個人ユースを極めて意識した製品で、トランジスタにより小型化が可能となったラジオの特徴を最大限に活かした、お洒落な製品となりました。またコスト面でも大きく削減しつつも豪華な外観を完成させ、当時の価格は3980円と入手しやすい値段に抑え、大ヒットとなりました。またこの手頃な大きさからプレゼント用としても重宝され、巷に『R-8』は溢れ出しました。

モデルは’60年代テイスト抜群のスタイルを見事に再現、梨地の蓋を持つ上部の小物入れも開閉可能です。正面のスピーカーカバーやダイヤルのツマミ、チューニングメーターも忠実に再現されています。またサイドのイヤホンジャックや後部のコーションプレートもきちんと有り、開閉はしませんが裏側の電池ケースの蓋も再現、更に脚の高さ角度も完璧です。

クルマの世界において素人が『この外観のまま今発売されたら・・・』と言う表現をよく耳にするのですが、その表現が私は大嫌いで、本当に当時の旧車を所有し実用に使っている者から言わせれば、それはナンセンス以外の何物ではありません。今のクルマの規定に合わせて作っても何か雰囲気が違い、しかも価格も信じられないぐらいに高価になり、結局誰も買わない結果になってしまいます。
しかし生活実用品に限って見れば、それは1/3良いと思います。完全に新製品としてメーカーが売り出す事は、あざと過ぎて嫌なのですが、機能を果たせなくなった当時物の外観に現代の機能を組み合わせ、再び実用として生活に供する事は、実にお洒落だと思います。

これと全く同じラジオが、かつて我家にもありました。どうやら両親の結婚祝いに友人から頂いた物だった様で、この製品の開発ポリシー通りの過程を経て我家にやって来た事になります。結局当時の狭い我家では皆で聴くラジオとなっていたのですが、上部の小物入れは、私がグリコのオマケを入れたりしておもちゃにしていました。セピア色の記憶に残る、幼少期の想い出のラジオです。

2007年11月発売 発売当時価格 472円(ブラインド販売 税込み価格)