今回の『トラックの模型』の項は、2代目プリンスクリッパーの高床荷台仕様です。TLVとしては比較的早い時期に登場した商用車で、TLVが発足した翌年の2005年に発売されています。

日産とプリンスが合併した後も含めて、長年生産が続けられた2代目クリッパーですが、TLVではプリンス時代の初期型をモデル化、余計なアクセサリーが付く最終型には無いシンプルな顔つきが特徴です。プリンスオリジナルのクルマ達は、初代グロリアや初代スカイライン等、オッカナイ顔をしていたのですが、商用車は更にオッカナイ顔の物が多く、吊り目のマイラーや初期型のホーマーなどは半魚人みたいな恐ろしい顔をしていました。このクリッパーも、1958年にデビューした初代の2灯ライト持つ最初期型は更に恐ろしい顔で、楕円のグリル6個に丸目2灯ヘッドライトの頃は、決して夜道で出会いたくない、妖怪の様な顔をしていました。

1966年に2代目にモデルチェンジ、丸味を帯びたフロントビューになり、またグリルの楕円も2個になりました。その楕円グリルと同じ大きさに納た4灯ヘッドライトにより、かなり優しい顔つきになりましたが、それでも他社のトラックよりも個性的で、妖怪の様なイメージはまだ残っていました。プリンス自動車は元々飛行機を作っていた会社が母体なので、その楕円にはプロペラがデザインされているかの様で、もしそうならば自社の製品にも、昔の会社は愛社精神が現れています。

さてモデルの方ですが、高床式荷台をプロトタイプにモデル化。TLV初の4輪トラックとして登場しました。また同時に低床式荷台も発売されています。TLVの仕上がりも手慣れて来た時期に発売された製品であり、現代的な仕上がりとなっており、既に19年も前のモデルですが、今でも十分通用します。独特の丸味を帯びたキャビンのシルエットは完璧、また荷台の荒々しく力強い実車さながらのイメージも伝わって来ます。更に細かなディテールも素晴らしく、件のグリルに納まるプロペラのオフセットされた様子、リアのステッカーエンブレム、ドア下部の自家用表記、キャップレスのホイール等々見所満載です。幌も付属品としてセットされており、これはモデルの印象を変える事にも貢献するパーツとして有用で、正に至れり尽くせりのトラックモデルとなっています。

実車が現役当時、私が街中で見た記憶では、かなり使い込まれていた印象のあるクリッパーですが、この様な新車状態は眩しいぐらいで、博物館に展示されている様な感覚でコレクションに加えている、お気に入りのトラックモデルです。

2005年5月発売 発売当時価格 980円(税別価格)